隠された特殊能力
好きな映画の中に「レインマン」があって
ときどき、その名シーンをなぜか唐突に
思い出す。
どんなシーンかというと、
立ち寄ったカフェで、つまようじの束を
落としてしまうという場面。
無数に散らばるつまようじ。
それをみたダスティン・ホフマン扮する
レイモンドが、
「82、82、82…。」
(合計246本)と数を瞬時に数える。
レイモンドはサヴァン症候群という
障害を抱えながら、同時に尋常ではない
秀でた能力も持っている。
そうした理論的には考えにくい能力に、
あぜんとした記憶を思い出す。
*
ああいうのって、
どういう感覚なんだろう、と思う。
どんなふうに、世界が見えているんだろう。
たとえば「記憶力」というと
意識して覚えて、はっきりと認識できること。
だと思う。
テストや受験で必要とされるようなやつ。
だけど、ぼくは、そういうのと
サヴァン症候群みたいな能力とは
違うんじゃないかなあと思う。
うーむ、と思っているときに、
「キーボードの配置をどこまで
覚えてるかテスト」を考えたら
どうかと思い付いた。
まずは、紙と鉛筆を目の前において、
頭で考えて思い出してみた。
が…まったく思い出せない。
はしっこにあるQとかA、Zくらいは
なんとなーく分かるが、そのほかは全然。
それで、やり方を変えてみた。
鉛筆をおいて、
目をとじ、フォースの力で
「あいうえお」と頭に思い浮かべて、
まるでそこにキーボードがあるかのように、
エアブラインドタッチをしてみると、
なんと、a、i、u、e、oの大体の位置関係が
分かっていたことが判明した。
その後、いろんなひらがなを
打ってみると、だんだん埋まってくる。
紛らわしいところ、
例えばm,nの位置はどっちが右で左だったか
分からなくなるが、
「もの」(mono)とエアタッチしてみれば、
あ、mのほうが右だった、とわかる。
指の記憶力。これは、意識の能力よりも
完璧に秀でている。
言語化を通さずして、
直接、体と脳がリンクしていて
意識では「記憶できていない」と
思っていることでも、実は覚えていたりする。
自分はこれだけしか脳を使っていない
と思っていても、思わぬところで
使っている。
レイモンドも、もしかしたら、
言語や意識ではないところでの
身体感覚の延長線上にある能力を
無意識に働かせているのかもしれない。
最近はピティナコンクールという
小学生くらいの子たちが、
大人顔負けのピアノ演奏をしている
動画をYOUTUBEでよく見ている。
上手な子の手の動きは、
見るだけで心地よい。
2018/03/19