記憶に残ること
昔読んだ絵本で、
今でも覚えてるものがある。
同じように、
昔住んでいた場所とか、
旅行で初めて行った場所のことも
頭の中に独特な「感じ」として
沈殿物のように
溜まっている気がする。
それが、ふとした拍子に
スノードームのように思い出されて、
懐かしいなと思う。
けれど最近は、
ずっと記憶に残るような
濃い時間を育むことがあまりない。
ガラスを何枚か隔てて過ごすような
うすぼんやりした感覚。
*
こないだジブリ美術館の
短編アニメを見た時、
不思議なかんじがしました。
見終わったあとに、妙に映画の
細々したところを覚えていたのです。
ありありと頭の中で
景色を再現することができた。
自分にとって、新鮮で面白いと
思ったものは、しっかりと記憶に
刻み込まれるものなんだな、
と思いました。
繰り返すようだけど、
今では無感動で鮮烈に記憶に
残るようなものは少ない。
でも子供の頃はたぶん、
ジブリの短編映画をみた時の
ように、いろんなことが
どんどん頭に焼き付いていった。
体験と想像がアクロバットして
個人的な世界が
立ち上がってたのだろうな。
*
子供の数分の経験は
大人での数年間分に等しい、
とよく言われるのは
こういうことかもしれない。
今ゆっくりと進行している
補集合の本のリニューアルも
記憶に残るような、
濃い読書時間となる本になれば、
と思っています。
2013/04/11