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言葉の効能成分

1、詩のことば
 
ちり ちり ちりり
まどのそとの じてんしゃのおと
 
ちり ちり ちりり
どこだかしらない かいねこの
すずのおと
 
ちり ちり ちりり
えきのかいさつで だれかが
おかねをおとしたおと
 
ちり ちり ちりり
とおいおかのうえで ひつじのならす
べるのおと
 
ちり ちり ちりり
がいこくのきょうかいが
ひのでをつたえるハンドベルのおと。
 
耳で聞く音は、聞こえる範囲の距離しか
聞くことができない。
 
でも、ことばを知っていると、
遠くの音まで想像できる。
知らなければ、関係がないままで
いられたようなものも。
 
もうひとつマザーグースにこんなのがある
「とおくのとおくの きたのくに
ろばがくるしいせきをしている」
 

 
2、科学のことば
 
上流で遊んでいると、川魚が通る。
 
ねえ、魚さん山の水は気持ちいいでしょ?
こんなことを質問したら、魚はきっと
こう答えるんじゃないか。
 
「水?なんのこと?
ここにはなにもないよ。」
 
それはちょうど、自分たちが
空気をないと思っているのと同じように。
 
宇宙人が地球に降りてくるとき、
じゃっぶーんと空気の波を立てて
潜るときにものすごい衝撃だった。
 
ボンベマスクと耐圧スーツをつけて
おりたった宇宙人は、
地球に住むぼくらに、こう聞いた。
「このたぷたぷ満タンの空気のそこで、
どうして生きていられるんですか?」
 
そしてぼくたちは、
「たぷたぷ満タン?なんのこと?
ここにはなにもないよ。」
と答える。
 
小さすぎるもの。
大きくとも、
当たり前すぎて気が付かないもの。
人の五感では感じとれないもの。
 
そういうものが地球には山ほどある。
 
知らなきゃ、知らないでも
いられるけど、
僕たちのそばには、くじらや
ジェット機、高層ビル、富士山
なんか比べ物にならないほど、
でっかくてひろーい空気がある。
 
空気だけじゃなくて、
虫もいるし、微生物もいる。
木々や生き物たちが根っこのしたで
繰り返している生まれ変わりが
日々たくさん行われている。
 
そういう場所の上で
自分もいっしょに暮らしている。
だけど、そういうことは、たいがい
考えなくても気にしなくても
すむように町は設計されている。
 
でも、あるものは、ある。
科学の言葉は、そういう忘れては
いけない同居人のことを
紹介して、親しく思わせてくれる。

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