脱!母国語?
多和田葉子の「エクソフォニー/岩波書店」
をちょっとづつ読んでいます。
ドイツに住み、ドイツ語で
文章も書いている著者が、
自ら感じた言語的体験をもとに
語られるエッセイ集。
ドイツ周辺にはスイス、フランス、
オーストリア、ポーランド等の国があり
様々な言葉を話す人が
当たり前のように共存している。
スイスの公用語は4カ国語あり、
とりわけドイツ語には、
本場のものと違ったニュアンスが
あるようです。
「ドイツ語のスイス方言」という
ようなもの。
日本で言う沖縄の方言のように、
本場ドイツ語が話せても
「スイス方言」をすべて理解するのは
難しいのだそうです。
著者がドイツから電車に乗って
スイスに向かう際に
スイス方言を話す人と出会うが、
本場ドイツ語では不都合なので
英語で話す、というところなどを
読むと頭がくらくらする。
一度も海外へ出たことがない
自分にとって、
言語の切り替えなんていうのは
まったく感覚の届かない領域だと
思ったのです。
*
国によって平均的な声の高さが
違うらしく、
「その国の声」に包まれることで
国をまたいだという実感が
あるのだという。
驚くことばかり。
日本では1カ国語だけ話せれば
通常の生活に支障がない。
これを得とすべきか、
損と言うべきか。
他国語にふれてみたいという
思いは、塵が積もるように
ゆっくりと高まっていきます。
2013/02/27