ことばのロボットいろはちゃん 更新2020/8/5

空気には色がある

豊島(てしま)って知ってますか?

瀬戸内の直島と、小豆島の間にある島で、
たったいまGoogleマップで見て、
ぼくも知りました。

ひさしぶりに写真集というものを
買ったのですが、ほぼ衝動買いで。
なんの事前情報もなく。

『豊島の空気』という本。
写真家の泊昭雄さんが好きだったのと
(ヒニスムという雑誌が好きだった)
「空気」というワードに惹かれ、
その2点だけの理由でネットで購入。

そして、この本の出版元が
サークルハウスコーポレーション。
豊島に「海のレストラン」や
「ウミトタ」という宿泊施設、
「ナミノミ」というショップを
経営する株式会社…
つまり出版社ではないということ。

この本も、施設も
ディレクションにミナペルホネンの
皆川明が関わっているみたいで
(ついでにいうと、ヒニスムでも
デザインをされていた?
太田江理子さんというデザイナーや、
かねがね噂で聞いてた
すごい印刷会社さんである山田写真製版所も)
本は出版社が作るもの、というよりも、
作りたい人、残したい感性があって、
それを形にできる人がいて
その二つの熱量がありさえすれば
「本は出版社が作るもの」という概念は
どうでもよくなるんだなあ。

…と感慨。

正直、ぼくは、ほとんどのことに
興味がなくて、上記で名前を挙げた方々も
実はそんなに興味はないのですが、
少なくとも出来上がったこの本には
親しみをもっております。

写真集を眺めていると
空気が彩色されているようにおもえる。

ぼくたちはいつどこにいても、
空気に沈んで暮らしているんだけど、
きっとその場所ごとに
いろんな空気の色に包まれているんだろうな
と思わせてくれる。

小豆島には一度だけ行ったことがあって。
そのときのおだやかでしずかな空気が
ふつふつとよみがえってきて心地いい。

空気はさらさらしていると
イメージしているしている人には
ちょっと嫌かもしれないけど、
空気は思った以上に
ゼリーや、ハチミツみたいなものだと
想像するといいなと思う。

窓を開けておくと、
下の方からちょっと顔をだして、
とろーっと入ってくる。

入ってきた分と同じだけの
部屋の空気をにゅーっと外へ
圧しだしながら。

(「重さがあって、圧している」
というイメージが、粘性によって
感じやすくなると思うから。)

空気が色を持っているといったけど、
実際に空気は個性を持っている。
冷たさや、匂いや、湿気、
動きのとろみ具合。

それらは風景の素といってもいい。
空気は行く先々で、
風景をしみこませてくる。

(洗濯物が乾くのも、
顔を濡らすと、すーっと涼しくなるのも
空気が水と熱を吸っているから)

それが、ぼくの裸足に浸ったり、
深呼吸して胸のなかに入ると
景色が体の内側の暗闇のなかで、
ぱち、ぱちとちいさな花火のように
またたいてきえていく。

空気が、実際に「もの」として
存在しているのに、
それが、五感に感じられて、
はっきりと認識できないもどかしさがある。

それを、可視化してくれるような
写真集でした。

しばらく机の上に飾っておこう。

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