知りたい
なにか空想をするときに、
「それは本当のことです」という
前提を掲げられると、
面白さはとたんに増すものです。
たとえば、いまこれを読んでいる人は
たぶん座っているか、
もしくは立っているか、つまりは
止まっている状態だと思うんだけど、
でも本当は動いてるんです、という話とか。
止まっているつもりでも
動いているってどういうことだろう。
科学の絵本、
「もっとはやいものは」(福音館)を
読んでいるとその答えがわかります。
地球の自転は24時間で4万キロも
動いているのだそうです。
時速にすると1670キロ程というから、
地球にいる自分たちは
いま止まっているつもりでも、
どうやら音速以上の速さで
動いてるようなのです。
公転(太陽の周りを一回りする動き)
のことを考えてみると、もっと速い
スピードで動いているんだって。
公転は時速10万キロで回っていて、
一秒間にすると30キロを移動している。
そんなわけないと思っていても、
どうやらそれは本当らしい。
本当らしいと思ってみると、
一瞬だけ足元をすくわれたような
ぞっとする感覚がわいてくる。
*
科学のはなしの面白いところは
それが本当だというところにあって、
知っていれば、
いままでなかった感覚が
体に備わったような気がしてきます。
そして、もうひとつ興味深いのは
ちゃんと科学を研究してきた人が
絵本を書いているというところ。
さいきん、絵本は研究職だという
話を聞いて目からウロコだったのですが、
ぼくは絵本が好きで、
じぶんでも描いてみたいと思って
色々な「絵本」を探っていたけど、
そこには答えがないのかも、
と思えてきました。
ある時代を描きたいから
当時の服装とか暮らしの様子とか
建物とか知りたい、と思えてくると、
知らないことばっかりで
調べないことには描いたことには
ならないのだと、実感しています。
2014/04/12