目を閉じるか閉じないか
ぼくは問題に直面しないと、
勉強できない、というタイプ。
その具体例として
これまで避けてきた
「スキャンした原画データを
Photoshopで色調整する」という術を
あげてみよう。
こないだ、制作から印刷までを
一貫して頼んでくださる印刷案件があって
とうとう自分でも「色調整」という壁に
向き合わなければ、という機会を
頂けたと思ったんです。
*
まずは従来のやり方で調整して、
校正刷り。
色が、暗い、重い。
もちろんそうならないように
時間をかけて尽くしたはずだけれど、
なぜ!と。
そういわれてみたら、
使っていないPhotoshopの機能が
結構あるよなと思い
帰りの道すがら、その説明動画とか
プリンティングディレクターが
実践的に解説している動画を漁って
みて気が付いた。
あ、数値か、と。
色って感覚だと思っていた。
だけど、印刷においては違ったみたい。
なぜって絵の具は
たくさんの色があるけど、
印刷は、基本4色しか使えないから。
(絵本作家の長谷川義史さんが、
絵を描く時に、4色の絵の具しか使わない
と言っていた理由は
もしかしてコレなのかな…)
たとえば、血色のいい肌色を
再現したいとき、
黄色と、マゼンタ(赤)の2色で
配合したい。(ぼくの場合は、ね)
だけど、数値でみると
なぜか、シアン(青)が微妙に
混ざっていたりする。
木々の緑に黒が混ざっていたり。
そりゃあ暗くなるわけだ!
スキャンするときに「原画の色を
4色で変換する」影響で、
画面が暗くなっちゃうんだけど、
そのくすみを除去できていない。
そういう時は、数値を見ると、
とても客観できる。
感覚だけでも分からないし、
比較しないと分からない。
ベストの状態は、このくらいと、
分かっていれば、
そこを基準にできるけど、
比較するものがなければ、
それが実は暗くても「これが明るい」と
思い込んで進めてしまう。
*(ここからが本題)
そして…気が付くと、目の奥が
疲れている。
そんなときは目を閉じる。
目を閉じると、やすまる。
でも雑念も、わいてくる。
ちょっと雑念はおいといて、
この時間も無駄にはしまい、と
あとの進行予定を再現して、
効率を図る。
うん、目を閉じながらの瞑想は
楽でいいなと思う。
すると、いつのまにか
セピア色の幹線道路を車で
運転しており、
信号の角を曲がると、
なぜか細いロードバイクに
またがっていて、宴会の声が遠くに
聞こえる紅葉のきれいな温泉の
湯気の中。
あれ、いい雰囲気だなあと。
夢である。
どうやら、想定外の
おひるねをしていたらしい。
…
目を休ませよう、という思いと
瞑想をしたいという気持ちが
重なる人は少なくないと思う。
けれど、寝てしまうのは
違うと思う。
正しい座禅は、目を閉じないそうです。
永平寺という日本一厳しいお寺では
壁に向かって、半分目をあけて座禅する。
目を開けていると、
閉じているときほど、雑念と妄想は
うかばない。その分、
すごく無駄な時間をすごしている感覚に
とらわれる。
良薬は口に苦しというが、
今後はそういうつもりで
目を開けた瞑想をしてみようかと。
2020/09/16