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球技の人たち

球技が苦手である。
テニスやバスケットなんていう、
格好良いスポーツは仰ぎみてしまう。
 
ぜんぜんできない。
バスケットはドリブルからできない。
ドリブルしていない方の手も
一緒の動きになってしまうし、
そのまま歩くことなど、もってのほか。
 
シュートだって入ったためしがないし、
ディフェンスに間違えてパスしちゃう。
 
テニスも、サーブが全く入らず、
レシーブも運良く返すことが
できても、あらぬ方向へ飛ぶばかり。
 
小学校のころ、いとこたちに囲まれて
遊びでやらないかと誘われたけど、
それは泣いて帰るか、
不機嫌になった思い出として思い出される。
 
体育の時間のサッカーも苦痛だった。
どこに走ったら良いかわからなくて、
ぼーっと立っていた。
自意識が強かったせいか、風がふいた
時に髪がなびくのが恥ずかしくて
ボールを追うよりも、
自分の髪を必死に直していた。
 

 
唐突に話が変わるけど、
つい先日、ミッシェル・ゴンドリー展を
東京都現代美術館まで観に行った。
 
あの美術館のすぐ横には、
木場公園という大きな公園がある。
木場駅で降りて、美術館へいくには
公園内を通って行くのが気もち良い。
 
さあ、そろそろ楽しみにしていた展示会場だ。
と思っていると、
目の前にちょっとしたグラウンドがある。
そこをつっきって行くのが最短距離。
でも、どうだろう、そこには
サッカーをしているグループと、
その奥には3on3的なことをしている
グループがいる。
 
恐い。
 
球技をやっている人たちの近くに
行くのが恐い。
もし、ぼさぼさ歩いて邪魔にでも
なったら、怒られるかもしれない。
 
もし、ボールがこっちにとんできたら
あらぬ方向へ返してしまうかもしれない。
 
どきどき、と思いながら、
ゆっくり方向を変え、回り道をして
美術館の入り口をくぐった。

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