球技の人たち
球技が苦手である。
テニスやバスケットなんていう、
格好良いスポーツは仰ぎみてしまう。
ぜんぜんできない。
バスケットはドリブルからできない。
ドリブルしていない方の手も
一緒の動きになってしまうし、
そのまま歩くことなど、もってのほか。
シュートだって入ったためしがないし、
ディフェンスに間違えてパスしちゃう。
テニスも、サーブが全く入らず、
レシーブも運良く返すことが
できても、あらぬ方向へ飛ぶばかり。
小学校のころ、いとこたちに囲まれて
遊びでやらないかと誘われたけど、
それは泣いて帰るか、
不機嫌になった思い出として思い出される。
体育の時間のサッカーも苦痛だった。
どこに走ったら良いかわからなくて、
ぼーっと立っていた。
自意識が強かったせいか、風がふいた
時に髪がなびくのが恥ずかしくて
ボールを追うよりも、
自分の髪を必死に直していた。
*
唐突に話が変わるけど、
つい先日、ミッシェル・ゴンドリー展を
東京都現代美術館まで観に行った。
あの美術館のすぐ横には、
木場公園という大きな公園がある。
木場駅で降りて、美術館へいくには
公園内を通って行くのが気もち良い。
さあ、そろそろ楽しみにしていた展示会場だ。
と思っていると、
目の前にちょっとしたグラウンドがある。
そこをつっきって行くのが最短距離。
でも、どうだろう、そこには
サッカーをしているグループと、
その奥には3on3的なことをしている
グループがいる。
恐い。
球技をやっている人たちの近くに
行くのが恐い。
もし、ぼさぼさ歩いて邪魔にでも
なったら、怒られるかもしれない。
もし、ボールがこっちにとんできたら
あらぬ方向へ返してしまうかもしれない。
どきどき、と思いながら、
ゆっくり方向を変え、回り道をして
美術館の入り口をくぐった。
2015/01/06