永遠性
眠りがとまらない。
起き上がって、
やらなくてはいけない事があるのに。
しかし、気がつくと布団の上に
寝そべっている。
だんだんカラダが麻痺してきて、
横にならないと
落ち着かなくなる。
これは中毒症状ではないか。
けっこう不味いのでは。
*
前から、一つの欲望に
浸りきりたい、
という理想を持っていた。
それは半分は好奇心でも
あるかもしれない。
時間を心向くままに
使えるようになった今、
それを実践してみたくなったのだ。
と思う。
昼間なのにカーテンを閉めて、
まっくらにして、
薄明かりの中で本を読む。
そしてだんだん眠くなる。
仰向けになり目を閉じる。
*
そんなとき遠いエジプトで
未だ発見されていない
ミイラの女王などを思う。
何千年と、地下深い暗やみの、
重たい石で出来た柩の、
ぐるぐる巻きにされた
包帯の下で、
幽かに光りつづける
宝石のような青い瞳が、今なお
ゆらめいているのを想像して、
うっとりとする。
そういう永遠的なものを
美しいと思ってしまう。
あ、そうだ、と思う。
この眠りからさめたら、
銭湯にいこう。
そしてラーメン屋に行く。
なぜなら、
湯舟の泡のぶくぶくや
途切れる事なくあふれる湯気、
だしっぱなしのお湯、
これらも永遠的なものの象徴として
ぼくを喜ばせるから。
「やることを早く片付けなさい」と
天からの声が聞こえてきますが、
一生懸命聞こえないフリをしています。
2012/08/17