条件付き元気
今日は寝ないで作業をしよう。
とこれまで何度考えただろう。
今年に入って、80回はそう思った。
しかし、ぼくは寝るのが大好き。
あたしと、仕事とどっちが大事なの!?
とベッドで睡眠が詰問する。
繰り返すが、
ぼくは寝るのが大好きなのです。
大好きな人にこう言われたら、迷わず
「もちろん、きみさ。」と
こう答えざるを得ない。
そして気がつくと、電気を消して
ベッドでにこにこして横になってる。
徹夜を決意して実現した試しはない。
「今日は徹夜だ!」というのは
もはや、早めに寝よう、という事への
フラグなのだ。
*
でも、本当に寝ている場合ではない
という時も、あるにはある。
そんな時は「眠いわけはない、
なぜなら自分は元気だから。」
と思うことにしている。
しかし以下の条件付で。
・もし8時間睡眠した直後なら。
・全回復するマシンを使えば。
・目玉を新品と交換したなら。
・煽ててくれるたいこもちがいたら。
それを、頭の中で想像する。
こうでもすりゃ元気になるんだけど。
こういう条件付元気っていうのは、
案外自分が元気ではない理由が
はっきりするから、お勧めしたい。
*
あとは条件付効率アップも考える。
どうしても捗らない時があると、
こういう条件を考える。
ここは、中世ヨーロッパの古城。
教育係の細身の叔母さん、
小間使いのばあさん、
料理人のおじさん、
巨大な犬、ほかにはだれもいない。
たまに少年少女が遊びにくる。
大きな暖炉、小さな本の部屋。
外は決まって5月か10月の
すずしくて陽射しのあかるい季節。
(「まぼろし白馬」(岩波少年文庫)
のイメージに近いな)
早朝に散歩に出て、帰ってくると
今日一日のスケジュールを確認し合い、
簡素だがうまい朝食を食べる。
広くて静か、
(ここが風と光と匂いの通りがよい
古城であることを思い返してほしい。)
周りは林だが、すこし歩けば湖があり
反対に歩けば町がある。
町は市場があり大変活気のある港町。
それで、古書店もあり、喫茶もある。
一日の終わりには、
その日の進捗を報告して、
教育係の叔母さんに
「怠けるんじゃないよ」と
お小言をもらい、
くそ!と布団に入る。
こういう生活があったら、ぼくは結構
力を発揮するんだけどなあ。
2017/06/16