意識また意識
だいたいぼーっとしている。
と、思う。
気にしてみないと、分からないが
なにかをしているようで、案外、
無意識でいる時間がおおい。
こないだ書いた作文に出てきた宇野千代は、
「意識また意識」だという人。
そんなことが言われると、これまでの
人生を無闇に過ごしてきてしまった自分に
胸が重苦しくなる。
(あなたは、そうはならないか)
もやもやした「思い」としては、
まとっているように思うが、
それが考えとして表面化し、
意識にのぼらなければ、
「思い」は活かされない気がする。
*
せめて、という思いから、
本を読んでいる時間くらいは
なにを感じたか、意識できていたい。
これは読書感想文だなと思う。
なんでもいいし、短くてもいいから
読んで思ったことを書いみたら、
日々の懺悔になるんじゃないか。
*
最近読んだのは「山のトムさん」
(石井桃子著/福音館書店)。
いまBSでドラマ化されているし、
うっすら話題になっていると思って。
戦後まもない東北の山が舞台。
開墾の人たちの家の物語。
そこへ子猫のトムがもらわれてくる。
イラストも良くて、みると
うちの猫とそっくりなんだ。
それで、読みながら、うちのと
照らし合わせて、
「おんなじ、おんなじ」なんて思って
面白がれてしまう。
猫を飼っている人なら、きっと
読み進めるたびに、飼い猫への愛情が
増してくるはず。
猫の無邪気さ、性格、思いやり、好奇心
というものは、分かっているようで、
実はなかなか気がつけない。
著者の細かな観察と描写によって、
猫たちの愛らしさを確認しているようだ。
本当に作者が一人の友人として、トムを
好きだったんだなというのが分かる。
*
これを他の創作した物語と比べると、
「創作」感がない。日記にちかいかも。
こういう日記も実は、日々の意識が
形をつくっている。
感じたり、思っているけど
スルーしている事柄を、
「ある」と認識することができる。
「意識また意識」だなあ。
2016/01/06