情報の再定義
小学生の頃、
「頭の体操」(多湖輝)のシリーズを
よく読んでいたんだけど、
ときどき、突拍子もなく
その問題を思い出すことがある。
どんな問題かというと、
パパ、ママ、娘の三人がデパートへ
買い物にいって、
さんざん時間を費やしたうえ、
三人が同時に同じことを言った…
なんと言ったか?というもの。
ちなみに、頭の体操って
クイズの本なんだけど、
どの問題もかなり難しい。
答えを見ないで正解できるのは
1冊のうち、3問くらい。
答えを当てるのが目的、というより
「なんだろう」と思考を繰り広げる
楽しさが目的。
この問題も例外なく
難しい。
さて、答えは
「あったかい」だそうな。
パパの欲しいものは「あったかい?」
ママの値札をみて「あ、たかい!」
娘がコートを試着して「あったかい」
きっとこの後三人は、
お互いに見つめ合ってきょとんと
しちゃっただろうな。
*
同じ言葉だけど、立場が変わると
意味も変わる、という手品みたいな
ふしぎな現象がおもしろいなと。
実際に、文章がどのように
理解されるのか、という研究があって
まんまなタイトルだけど
「文章を理解するとは」甲田直美
の中にも、
家の間取りや、住人の生活スタイルを
淡々と書いた文章があって、
それを、
不動産屋が書いたものだと思うのと、
入念な泥棒が書いたものだと思うのとで
文章の伝わり方や感じ方が変わる。
という一例が載っていたりする。
*
あ、これは面白いと、
自分でも考えてみた。
「イギリスのボックス部屋?の電車に
乗り合わせた若い女性と私。
女性の美しい指には大きな宝石。
そしてちいさな口で
フィッシュフライサンドを頬張る。
その様子を見て、私はごくりと
喉をならした。」
という文章があって、
私が誰であるかを想像しながら、
何度か読んでもらいたい。
怪盗ルパン4世か
腹をすかせた猫か
恋に焦がれる青年か
これは前にボツにしたんだけど、
もういっかいチャレンジしたいな。
*
この実験は、単に面白いという以上に
世の中の情報が、
どのように価値をもつのか、
という問いかけになるんだと思う。
目の中のハイライトが
住所特定犯には、重要な手がかりに
なったりする時代だから、
なんか意味はありそうだなと
ぼんやりと思う。
2019/10/11