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情報の再定義

小学生の頃、
頭の体操」(多湖輝)のシリーズを
よく読んでいたんだけど、
ときどき、突拍子もなく
その問題を思い出すことがある。

どんな問題かというと、
パパ、ママ、娘の三人がデパートへ
買い物にいって、
さんざん時間を費やしたうえ、
三人が同時に同じことを言った…
なんと言ったか?というもの。

ちなみに、頭の体操って
クイズの本なんだけど、
どの問題もかなり難しい。

答えを見ないで正解できるのは
1冊のうち、3問くらい。

答えを当てるのが目的、というより
「なんだろう」と思考を繰り広げる
楽しさが目的。

この問題も例外なく
難しい。

さて、答えは
「あったかい」だそうな。

パパの欲しいものは「あったかい?」
ママの値札をみて「あ、たかい!」
娘がコートを試着して「あったかい」

きっとこの後三人は、
お互いに見つめ合ってきょとんと
しちゃっただろうな。

同じ言葉だけど、立場が変わると
意味も変わる、という手品みたいな
ふしぎな現象がおもしろいなと。

実際に、文章がどのように
理解されるのか、という研究があって
まんまなタイトルだけど
「文章を理解するとは」甲田直美
の中にも、
家の間取りや、住人の生活スタイルを
淡々と書いた文章があって、
それを、
不動産屋が書いたものだと思うのと、
入念な泥棒が書いたものだと思うのとで
文章の伝わり方や感じ方が変わる。

という一例が載っていたりする。

あ、これは面白いと、
自分でも考えてみた。

「イギリスのボックス部屋?の電車に
乗り合わせた若い女性と私。

女性の美しい指には大きな宝石。
そしてちいさな口で
フィッシュフライサンドを頬張る。
その様子を見て、私はごくりと
喉をならした。」

という文章があって、
私が誰であるかを想像しながら、
何度か読んでもらいたい。

怪盗ルパン4世か
腹をすかせた猫か
恋に焦がれる青年か

これは前にボツにしたんだけど、
もういっかいチャレンジしたいな。

この実験は、単に面白いという以上に
世の中の情報が、
どのように価値をもつのか、
という問いかけになるんだと思う。

目の中のハイライトが
住所特定犯には、重要な手がかりに
なったりする時代だから、
なんか意味はありそうだなと
ぼんやりと思う。

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