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心地よさを待機せよ

すごい技術を持っている人、
表現を高みにまで突き詰めている人、
自分が好きだと思うことに
専念している人、

こういう方々を目の当たりにすると、
人っておもしろいなと思うんですよね。

それぞれに、それぞれの人が、
「能力の素」みたいな授かりものを
生まれながらに持っているのかもな、
と思わざるを得ないんです。

多分これ、全員が持っているはずで。

ある人は体を動かすのが好きだったり、
ある人は読書が好きだったり、
ある人は虫を観察するのが好きだったり、

じゃあ、なぜそれを自分が好きか、
と聞かれたら全然理由なんてない。

自分がどんなものに
「なんか心地いい」と感じるか、

日常に惑わされず、毎日立ち止まり、
心地よさにちゃんと気が付いて
専念できる人が、
自然とすごい人になっているのでは
と思います。

それはもう、
うわべの理屈で成り立つものじゃなくて、
なんか知らないけど突き動かされる
自分の背を押してくれる大きなものがある…

という言葉にするとふわふわするんだけど、
確実にある実感を
もとにしてるんじゃないかな。

あとでちゃんとつながりますが…
いったん話は変わりまして、

風はなぜ起きるか、という話。

それは空気の体重に
個性があるから、です。

地球の地軸は斜めになって、
くるくる回転しながら、
一定のリズムで太陽を周っているので、

緯度によって、朝と夜と、季節と
そのリズムに沿って
空気も、あたためられたり
つめたくなったりする。

空気の体重は、
温度(太陽からの授かりもの)で
変わるので、

ある場所、ある時間で、空気の体重は
ところどころ、まばらになる。
個性が生まれる。

たとえば、

小さな公園の上だけでも
1000トンは超えるくらいの
重さがあるんです。

その隣にいる空気も1000トンなら
空気はお互いに背もたれで
寄りかかりあっているようなイメージで
風は起きないのですが、

仮に一方の空気が、あたたまって
995トンくらいに軽くなり
ふわっと腰を上げると、
もう一方が「おっとっと」と、
すべって、ねそべってしまう。

その動き、その差5トンの重みが
風の正体なんです。

そのように、空気は、
周りから圧し、圧され、
動いていくものなんですよね。

その原因は、
太陽や地球などのものすごく
規模の大きな力。

風がどう動くのかは、
それぞれの場所の影響で発生する
空気の個性で、

その個性を決めるのは
空気本人ではなく、もっと大きな
太陽系からの授かりもの。

その授かりものに対して
なんの雑念もなく、
そのとおりに空気は動く。

だから、美しいし、
あえて「空気の気持ち」を想像するなら、
圧し、圧されるのが心地よくて、
わくわくしているんじゃないかって思う。

さて、話は最初に戻りまして、

「能力の素」を無駄なく活かすなら
人は、空気の性質を
見習った方がいいと思う。

わき目もふらず「心地よさ」に従って
動いていく。

禅のことばで、
自分について知りたいとき、
何かを考えるのではなく、
待機することだといいます。

自分が何に心地良さを感じるか、
それは自ら作っていくものじゃなくて、
待機して、感じるまでじっとすること、

なんだってね。

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