左手の気持ち
徐々に寒さが和らいできて、
「ようやくだあ」という嬉しい気持ちと、
短い春がもう始まってしまうー、
という焦れる気持ちが
まざりあって、やってくる。
それにしても、今年も寒かった。
天井の高い(4mくらい?の)
家に住んでいるので、
暖房をつけても、
なかなか部屋が暖まらない。
だから、朝起きて、息が白い、
なんていう日が続いた。
机に向かう時は、ホットカーペットと
電気ストーブを贅沢に使うんだけど、
それでも冷たくなるのは、右手。
一方、左手はホットカーペットに
敷いた毛布に入れてあるから
あったかい。
左手はあったかいのに、
右手だけ極寒になってしまう。
*
右手は冷たい。
思えば、絵を描くときだけではない。
歯を磨くときも、
外でスマホを操作しているときも、
傘をさすときも、
いつも右手だけ、過酷な仕事だ。
あまつさえ、歯を磨いているときの
左手ときたら、
流しに出しっぱなしにしたお湯に
かけ流しされてあったまっている。
左手よ、甘やかされすぎだぞ!
もうすこし右手を見習えよ!
それから、右手、君も働きすぎだ!
*
と、けしかけてみる。
すると、
「でも、これはぼくにしか
できない仕事なんです」
と右手は健気にも主張する。
まるで風邪でも休めない
サラリーマンのようだ。
「ほかに代えがきかないんです!」
と狼狽する。
それを聞いて、ぼくは確かに。
と思った。
左手って、案外役に立たないよな。
という考えがよぎる。
かげでこっそり盗み聞きしていた
左手は絶望するに違いない。
「代えがきかない!?」
「同じ手でありながら、
代えがきかないって…。
オレっていったい…」
左手の気持ちの複雑さといったらない。
*
でも、思う。
利き手にできることと、
利き手じゃないからこそ、
利き手に難しいことができることが
左手にはあるはずだ。
たとえば、カッターできれいに切るときに
定規をしっかり押えるのは
右手より左手の方がうまい。
あと、ほかにもいろいろある!
今度から、左手の活躍も
見逃さないようにするから!と
叫びたい気持ちになってくる。
*
…だんだん、何を書いているのか、
よくわからなくなってきたので、
ここらで終わりにしよう。
2018/02/16