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実感絵本

ジャンナ・ジー・ヴィッテンゾン、
なんて覚えにくい名前なんだろう。
 
この人はロシアの脚本家で、
ミトン」(河出書房新社)という
アニメーションにもなった絵本を書いた人です。
(チェブラーシカの
レオニード・シュワルツマンが絵。)
 
この人が「ミトン」のあとがきに、
こんな文章を書いていました。
 
「…大きな願いは、わたしの物語を
読んだり、その映画を見たりした人が、
ほんのちょっとやさしくなり、まわりに
ほんのちょっと気をつかうようになり、
ほかの人の手助けをしたり、喜ばせたり
する気持ちを持つようになることです。」
 

物語って、読んだ人の気持ちと考え方に
直に作用する処方薬のようなんだ、と
これを読んで思いました。
 
本の魚たち004
 
にほんご」(福音館書店)もことばが
実感になる本です。
すこし引用してみます。
 
「きのそばに たって、
きという ことばを
からだで かんじてみよう。
あしは ねっこ、からだは みき
ては えだと はっぱだ。
ちいさなこえ、おおきなこえ、
たかいこえ、ひくいこえ、
みんな いろんなこえで、
「き」って いってごらん。
もりに なったような かんじがしないかい?」
 
あ、するする!想像力って
体の感じ方も変えることができるんだ。
 

 
ことばには、単に意味を伝え合う、
ということだけじゃなくて、
その人の気持ちや体の実感に
直に作用する効果を持ち得るのだ、と
思いました。
 
技法や知識やトリックを先行して
考えてしまうぼくには
もっとも足りない部分だなと痛感。
 
最近は絵本にいままでにないほど
興味を持ちはじめて、
本屋にいくと絵本コーナーにひたすら
はりついてしまうのだけど、
この本を読んで、ひとりでじーんと涙を
流していました。
あした、がっこうへいくんだよ
ああこのかんじとてもよく分かる。
筆舌し難い気持ちを絵本の中の男の子と
分かち合った気分でした。
おすすめです。

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