実感絵本
ジャンナ・ジー・ヴィッテンゾン、
なんて覚えにくい名前なんだろう。
この人はロシアの脚本家で、
「ミトン」(河出書房新社)という
アニメーションにもなった絵本を書いた人です。
(チェブラーシカの
レオニード・シュワルツマンが絵。)
この人が「ミトン」のあとがきに、
こんな文章を書いていました。
「…大きな願いは、わたしの物語を
読んだり、その映画を見たりした人が、
ほんのちょっとやさしくなり、まわりに
ほんのちょっと気をつかうようになり、
ほかの人の手助けをしたり、喜ばせたり
する気持ちを持つようになることです。」
…
物語って、読んだ人の気持ちと考え方に
直に作用する処方薬のようなんだ、と
これを読んで思いました。
「にほんご」(福音館書店)もことばが
実感になる本です。
すこし引用してみます。
「きのそばに たって、
きという ことばを
からだで かんじてみよう。
あしは ねっこ、からだは みき
ては えだと はっぱだ。
ちいさなこえ、おおきなこえ、
たかいこえ、ひくいこえ、
みんな いろんなこえで、
「き」って いってごらん。
もりに なったような かんじがしないかい?」
あ、するする!想像力って
体の感じ方も変えることができるんだ。
*
ことばには、単に意味を伝え合う、
ということだけじゃなくて、
その人の気持ちや体の実感に
直に作用する効果を持ち得るのだ、と
思いました。
技法や知識やトリックを先行して
考えてしまうぼくには
もっとも足りない部分だなと痛感。
最近は絵本にいままでにないほど
興味を持ちはじめて、
本屋にいくと絵本コーナーにひたすら
はりついてしまうのだけど、
この本を読んで、ひとりでじーんと涙を
流していました。
「あした、がっこうへいくんだよ」
ああこのかんじとてもよく分かる。
筆舌し難い気持ちを絵本の中の男の子と
分かち合った気分でした。
おすすめです。
2014/01/09