完璧なテレパシー
…があったら、どうしよう。
と思うことがたまにある。
自分の思ったこと、よぎった考えが
全部、筒抜けだったら…。
*
どういうわけか知らないけど、
思ってもみないことを
ふと、思ってしまうことがある。
人の話を聞いているときに
ちゃぶ台返しをするような考えが。
(全然そんなことないはずなのに)
突然、「そんなわけないだろう!
ばかやろう!」というフレーズが、
頭の中に、ぽっと現れる。
そのあと全力でこう訂正する。
「あ!違う、違う!今の嘘、嘘!」
もし、テレパシーがあったら、
まじであぶなかった…
みたいなことって
だれしもにあるでしょう?
*
昔「サトラレ」って映画があったけど、
ぼく自身、あのテレパシーについて
違和感をもっている。
テレパシーって言ったって、
頭の中で「ことばにしたこと」が、
伝わってるだけでしょ。
サトラレでは「思念が伝わってしまう」
というけど、ことばにならない、
心地や、反応みたいな部分は、
どう処理されてるんだろう?
原作マンガを読んでみるか。
*
がらっと話題を変えるけど、
SFによくある話で、宇宙人がいて、
その宇宙人というのが、5次元以上の
高次元に住む存在とかいうやつ。
高次元の存在は、もはや、
ことばを使わないのだそうな。
つまり、思った事、感じた事を
まるっと、そのまま、相手に
移すことができる。
語弊が存在しない、
完璧なコミュニケーション。
人間もこうなったら、
どうなるんだろう。
完璧なコミュニケーションだから、
恋愛のかけひきもなくなれば、
忖度もない。
本音と建て前なんてのも、ありえない。
「あなたに、何を伝えよう」
という意識的な伝達もないし、
最初に書いた
「思った覚えがないのに、
思っている悪口」とかも
取り消しようがない。
もはや、彼も彼女も
わたしの一部、みたいな
不思議に共存している様子を
思い浮かべる。
*
まわりで、たまに言われる
「自分のことばを話しなさい」の
自分のことばってなんだろう。
と考えているんだけど、
完璧なテレパシーがあったら、
そんなもの、あってないような
ものだよなあ。
だって、自分のことばっていうのは、
単に本音や、気持ちを伝えよう、
ということじゃなくて、
この気持ちをもとに、
どういう言葉を使ったら、
どう響くだろう?
という「伝え方の部品点検」を
することだからじゃないかな。
2019/06/06