好奇心第一
展示をするときに
いちばん恐れるのは、
おかあさんの一声。
「それはだめでしょ」
という類い。
「走っちゃダメ」
「それはさわらないっ」
「こわしちゃだめ」
「なにやってるのあんた」
「帰るよ、はやくおいで」
…
おかあさんというのは、
ことごとく子どもを規制する。
(ダメじゃないのよ、
まだ遊んでていいのよと
ぼくは心の中でこっそり思う)
心配だし、
迷惑にならないように、という
心配りなのだろうけれど、
(自分の精神年齢が
6才くらいだからか)
周りでそういう声が聞こえると、
いまだにドキッとして、
どんよりした気分になる。
一方、ちいさな子は思わぬことに
興味を持ってくれる。
作者の意図した所ではない部分に
気がつき、注目している。
基本的にぼくの作るものは
「言葉を見る/読む」というのが中心。
そうやって体験するもの。
けれど、何人かの子は
「この木いいにおい」とか
「なんかよめないもじが
きらきらしてる」とか
「あ、かげがおもしろい」とか
そういうことを言う。
それを聞いて大人たちは
「ああ、この子がこの作品を
理解するにはまだ早いんだ」と
思ったり、
「違う違う、ここの字を読むの」
と、さとしたり、
「壊さないでよ」などと言う。
せっかくの彼らの発見が
一気に台無しになってしまう、
という気がする。
「これはこうするもの」
と定めてしまうことで、
ものごとの可能性を
削いでしまっている。
なんだかすごくもったいないし、
子どもとしちゃあ、さぞかし
つまらんだろうなと思います。
今の世情に似合いませんが、
安全第一よりも好奇心第一で
考えてみてはいかがでしょうか。
2012/08/28