図書館の本
絵本は買うものだ、と思っていました。
本屋で立ち読みしたから、とか、
友人からちょいと借りたから、とか、
それでは満足しきれない何かが
ある気がしていたのです。
自分の手元にずっとこれからも
いつまでも残るという安心感。
思い出はいい加減に忘れちゃうけど、
絵本は本棚にしまっておけば、
ふとした時、何か参考にしたい時、
決して裏切らずに「そこにある」。
これがいい。
*
本屋で、母子がこんな話をしている。
「おかあさん、このチム見て」
「だめだめ、チムシリーズは図書館で
借りられるでしょ。」
「えー、図書館にないよこれ」
「ちゃんと探せばあるかもよ。
まあ買うなら君のお年玉から削っても
いいけど、今日はだめ。明日ならよろしい。」
こういうのを横で聞いていて、
えー、図書館で借りるんじゃだめだ
満足できないよ、と思う。
明日まで我慢して買いなさいよ。
そしたらその子は
「そういうことなら、買うのやめた。」
とても素直でいい子だった。
子どもより子どものぼくは、
冷や汗をかいた。
そして、図書館にいってみるべきか、
と考えはじめた。
思えばそちらの方が節約で堅実なのだ。
図書館は面白かった。
大人よりも子供が多く利用する場だから
絵本コーナーが充実している。
何より感心し目からウロコだったのが、
本の保護のこと。
本にはどれもカバー用フィルムが
かけられており、
表紙のフチにもやはり透明のテープが
貼られている。
濡れても平気、破れにくい。
丈夫に、長く、大切に、みんなで、
本と仲良くしましょう。という思い。
もちろん、もともとのデザインや、
装丁の美しさ、紙の質感は損なわれ
少々やぼったくなる。
けれど、見た目のデザインを大切に
し過ぎていたら、
一体デザインとは誰のための
ものなんだろう。と疑問に思う。
こうして保護されながら、
本たちもうれしそうに見えました。
2013/08/05