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図書館の分館にいこう

図書館には、
中央図書館と、分館とに
分かれている場合がある。

名前からしてわかるように、
中央の方が建物も大きく、
蔵書の冊数もおおい。

けれど、どういうわけか、
蔵書検索すると、
中央にはなく、分館にならあります。
みたいなことがある。

ちぇっ!と思う。
分館というのは、何かの施設と
併設されている場合が多い。

保育園とか、体育館とか、
公民館とか。
なので、所在も辺鄙なとこだったりする。

駅から遠い、道が狭い、
場所が分かりにくい。

けれど、先ほどのように
中央には、ないが、分館にだけある
という例があるので、
そこに分館に向かう理由が生まれる。

コドモの定番」(おかべりか)
この本を探して、市内の図書館だけでなく
出先(市外)の図書館にも
寄り道したりしたが、
なかなかない。

ついに、初めて行く市外の
図書館の分館にある!ということで、
徒歩20分かけて向かう。

閑静な住宅街にある保育園の
2階の小さな分館。
入ろうとするタイミングで、
3人のご老人も自転車ですーっと、
やってきた。
こんな辺鄙なところでも人は来るんだな。

中に入ると、おじいさんが12、3人。
小学生が2人くらい、そのお父さんが1人。
おばちゃんが1人。
思い思いの椅子に腰を下ろすか、
本棚をゆっくり眺めている。
おじいさんが多い。

カウンターには若くて美人の司書さんが
いたので、「あ、もしかして、
そのせいかな…」と邪推。

あ、こんなことしている場合ではない。
検索機で「コドモの定番」を検索。
あった~。

どれどれ。読んでみる。
子どもの頃の経験がまざまざと
描かれている。

コーンを一粒ずつ歯に装着したり、
わかめを鼻の下に貼り付ける。

家にお客さんが来るときの
母親が醸し出す独特の緊張感。
「かたづけなさーい!」etc.

そこまでさせるお客さんとは…。
もともとは普通のおばさんのはずなのに、
どこから「お客さん」に変身するんだろう。
ピンポンを押したとき?
玄関に足を踏み入れた瞬間に?
みたいなことを考えたり。

夕方の台所で、母と娘が
「たーぼえんじん」についての
埒の開かない会話を繰り広げたり。

デパートで迷子になって、
お母さんとおぼしき人の背中に
抱きつくと、ものすごく不細工な
偽のお母さんがこちらを振り向いた。
とか。

マンガエッセイなんだけど、
人の正直で、リアルな部分を
しっかり描いているんだけど、
それゆえに天然な面白さがある。

初めて来る小さな分館の席にすわって、
くっくと笑いをこらえながら、
読む「コドモの定番」は心底おもしろかった。

けれど、気が付く。
この市では貸出カードを作れない。
ということは、借りられない…?!

そう気づくと、本を閉じ、
若くて美人の司書さんを横目に、
分館を後にした。

amazonで買うか。

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