図書館の分館にいこう
図書館には、
中央図書館と、分館とに
分かれている場合がある。
名前からしてわかるように、
中央の方が建物も大きく、
蔵書の冊数もおおい。
けれど、どういうわけか、
蔵書検索すると、
中央にはなく、分館にならあります。
みたいなことがある。
ちぇっ!と思う。
分館というのは、何かの施設と
併設されている場合が多い。
保育園とか、体育館とか、
公民館とか。
なので、所在も辺鄙なとこだったりする。
駅から遠い、道が狭い、
場所が分かりにくい。
*
けれど、先ほどのように
中央には、ないが、分館にだけある
という例があるので、
そこに分館に向かう理由が生まれる。
「コドモの定番」(おかべりか)
この本を探して、市内の図書館だけでなく
出先(市外)の図書館にも
寄り道したりしたが、
なかなかない。
ついに、初めて行く市外の
図書館の分館にある!ということで、
徒歩20分かけて向かう。
閑静な住宅街にある保育園の
2階の小さな分館。
入ろうとするタイミングで、
3人のご老人も自転車ですーっと、
やってきた。
こんな辺鄙なところでも人は来るんだな。
中に入ると、おじいさんが12、3人。
小学生が2人くらい、そのお父さんが1人。
おばちゃんが1人。
思い思いの椅子に腰を下ろすか、
本棚をゆっくり眺めている。
おじいさんが多い。
カウンターには若くて美人の司書さんが
いたので、「あ、もしかして、
そのせいかな…」と邪推。
*
あ、こんなことしている場合ではない。
検索機で「コドモの定番」を検索。
あった~。
*
どれどれ。読んでみる。
子どもの頃の経験がまざまざと
描かれている。
コーンを一粒ずつ歯に装着したり、
わかめを鼻の下に貼り付ける。
家にお客さんが来るときの
母親が醸し出す独特の緊張感。
「かたづけなさーい!」etc.
そこまでさせるお客さんとは…。
もともとは普通のおばさんのはずなのに、
どこから「お客さん」に変身するんだろう。
ピンポンを押したとき?
玄関に足を踏み入れた瞬間に?
みたいなことを考えたり。
夕方の台所で、母と娘が
「たーぼえんじん」についての
埒の開かない会話を繰り広げたり。
デパートで迷子になって、
お母さんとおぼしき人の背中に
抱きつくと、ものすごく不細工な
偽のお母さんがこちらを振り向いた。
とか。
マンガエッセイなんだけど、
人の正直で、リアルな部分を
しっかり描いているんだけど、
それゆえに天然な面白さがある。
*
初めて来る小さな分館の席にすわって、
くっくと笑いをこらえながら、
読む「コドモの定番」は心底おもしろかった。
けれど、気が付く。
この市では貸出カードを作れない。
ということは、借りられない…?!
そう気づくと、本を閉じ、
若くて美人の司書さんを横目に、
分館を後にした。
amazonで買うか。
2019/07/09