古さは目新しい
アメリカの廉価な文庫の、
(ペーパーバックみたいな)
ああいう、がさっとした質感が好み。
あんまりきれいじゃないし、
質量感には欠けるし、混じりっけがある。
そう、日本人はなぜだか、
「混じりっけない」ものを
好むきらいがある。
でもぼくは、混じりっけがある、
海外の安っぽい紙に魅力を感じる。
なぜだと思う。
それは目新しいから。
当のアメリカでは、うんざりするほど
すりきれたものかもしれないけど、
日本にいる僕にしてみたら新鮮!
実際、日本でいう安い紙とは
真っ白で混じりっけのない紙だといいます。
ガサツな風合いな紙は、
わざわざ「雑な風合い」を作るので、
反対に高くつくんだそうです。
アンティークを好きになったり、
古風な街並に憧れたりするのは、
それが「目新しい」から。
古いんだけど、だからそれが
今の自分にとって新鮮。
…
反対のことを反対に
感じているようで、
なんだかよく分からなくて面白い。
最近仲良くなった友人のケストナーは
「一杯の珈琲から」という本で
ゲオルクという男の口を借りて
こんなことを書いていた。
「わたしたちは何でも
古いものでさえあればよろこんだ!
なぜならいつ見ても、古いものは
目新しかったから。」
古いものが、新しいだなんて、
思ってもみなかったよ、
ケストナーさん。
2013/06/12