値段のきもち
いま、20代くらいの女子たちの間で
ひそかなブームとなっているらしい、
さくらももこの「コジコジ」。
コジコジは人に気を遣うような、
どんな良いことも、悪いこともしないし、
どれほど深刻な状況であっても、
(テストで「-5点」をとっても)
マイペースを決して崩さない。
「コジコジは生まれたときから
ずーっと将来もコジコジはコジコジだよ」
この名言は、暗唱して
おまじないのようにして
唱える価値があると思う。
テストでひどい点数をとっても、
あっけらかんと皆に見せびらかしている
ハマジをみて、
人生テストの点数じゃないんだね、
ハマジが輝いてみえるよ。
と言ったまる子のような憧れの心境。
これが、若い女子たちが
コジコジに陶酔する理由と
似ているんだろうなと思う。
ぼくはこれを描いたさくらももこが
一体どういう人なのか、知りたくなって
ぞっこんまいってしまった。
機会があれば、マンガを買って読もう
と心に留めた。
*
ある日、本屋でコジコジを見つけた。
でも、迷った。
値段はそんなに高くはないけど
古本を探せば、もっと安いかも、と
せこい考えをしてしまう。
いま買ったらあとで後悔しないか…。
どうしても決められなかったので、
賭けに出ることにした。
隣の棚を覗いて、
手前にいるのが男の人なら買う。
女の人なら買わない。
覗いてみると、驚いた。
誰もいない。
この状況を想定してなかった。
今度は、適当にとった本を開いて、
そこにある文章が、肯定的な内容なら買う。
否定的な内容なら諦める。
開いてみると、
「それでも地球は回っている」
ガリレオだ…。しかもよく分からん。
…たった数百円の本でここまで悩むとは。
しかも好きな本なはずなのに。
自分が作ろうとしてる本の値段も、
買う人の気もちになったら
とても値段なんて付けられないな、
と痛感しました。
「買う」という決定打はどこだろうか。
2013/06/26