個室のはなし
こないだ、「駅の個室トイレで
朝飯を食う奴がいる」という
おそろしい話を聞きました。
そもそもトイレの個室というのは、
だれとも共有することのない場所。
「どうしてそこで朝飯を
食べてたのが分かったの」と訊ねると
コンビニおにぎりのゴミと、
食べかけのおにぎりが、
流されずにぷかぷか浮いていたのだ、
という。
なんて怖い(汚い)話なんだ。
そこが、新築の駅トイレで
ぴかぴかだったのがせめてもの救い。
トイレの中で食事する気持ちは
なかなか想像し難いけれど、
もしかしたら、人ごみの中で
ひとりになれる公共の場所というと
個室くらいしかないのかもと思う。
大体、都心に隠れる場所が少ない。
人目につかないところにそっと
ベンチがあるだけでも、とてもうれしい。
ターミナル駅で乗り換えに急ぐ人をみて
「出来ることなら一人きりになりたい」
と思っている人が、
この中で何人くらいいるんだろう、
と想像してみると、
案外少なくないのかもしれない。
友人と待ち合せしているカフェで
ぽかーんと座っていると、
横に高校生くらいの男子2人組が
座ってきた。
会話が全然ないので横目に見ると、
片方の子がずーっと耳にイヤホンを
つけてPSP(?)をやっていた。
うーん、わかるぞ。と思う。
目の前にいる人を完全に無視して
一人になりたい。という時がある。
慣れない人もいるし、苦手な人も多い。
でも、と思う。
でもそれはちょっと淋しくはないか。
きっと向き合って話した方が、
面白いことがあるかもしれないし、
笑えるかもしれない。
いやだなあ、とかきついなあ、と
思うことがあっても、
長い目でみれば、そういう体験が
いい勉強になる場合だってある。
一人になりたい気持ちにもっと
抵抗力を身につけたいものだ、と
とても思います。
2014/04/03