両立できますか
矢野顕子のsuper folk songという曲が
昔好きで良く聞いていたんだけど、
最近、ふと思い出して検索してみた。
歌詞が面白いなと思っていたら、
なんと糸井重里が作詞だというのに
おどろいて、
しかも、本人が歌っているバージョンが
あって(というか、こちらが原曲らしい)
とても感動してしまっています。
*
話題は前回の作文に戻りますが、
語感が楽しい言葉っていうのは、
ある程度、人にもおすそわけが
できるように、とは思っているものの
結局、一番楽しいのは自分。
だから、「わかんない」と
言われても、
それは仕方ないなと思う。
そういうものだと。
…
けれど、歌の歌詞って
ちょっと違う。
昔に書いた
「おまじないにしたい歌詞」で、
歌は、聞いた人、口ずさんだ人が
元気になったり、気持ちを解消できる
ことばであってほしいと書いていて、
今でもそうだなと。
そういう歌詞が好きだし。
言葉がおまじないのような
役目であってほしいと。
*
super folk songに戻るけど、
3年前のほぼ日の記事で
super folk songについての
インタビューがおもしろかった。
この歌詞は、
聞いている人のハッピーエンドを
願って、望んで書いた
ということが書いてあって、
あー、いいなあって思って。
それがちゃんと実現されていると
感じるし。
さて、ここですごいと思うのは、
歌詞のおもしろさと、
気持ちの共感の両立があるということ。
*
人の幸せを望むとか、
プレゼント的な発想って、
下手をすると気持ちはあっても、
表現としては面白みに欠けるのでは、
という図式が自分の中にあって。
(結婚式の手紙とかけっこう苦手)
見た人に「ありがとう」とかって
気持ちを伝えたい、
ということよりも、まずは、
わあって驚いてほしいという気持ちが
ぼくにはある。
super folk songのすごいところは、
言葉の組み合わせ的な面白さ
驚きがあったうえで、
個人的な思いじゃなく
それを見た人、使う人が、
その人の中で気持ちを
あじわえるものに
なっているのがすごい。
「ハッピーエンドにしてください」
なんかは特に
おまじない的になっていて
つい真似して口ずさみたくなる。
*
「恋に遠慮はいらないけれど
遠慮は恋が嫌いです」
「特に名を秘すロミオ様
ほんとの名前はマサル君」
「花も恥じらうジュリエット
村(そん)でも1・2のミドリちゃん」
「親と親とは敵どうし
選挙のたびになぐりあい」
「汽車の切符をにぎりしめ
「いざとなったら貯金箱
こわしていいわ」とジュリエット」
「各駅停車の逃避行」
…
断片的に聞くと
気を惹くキーワードとして
耳に入ってくるので、
それだけでも楽しいんだけど、
しっかり聞くと、
物語が見えてきて、
いつのまにか、自分の気持ちと
シンクロしている。
…
そう考えると
表現って両立だよなって思う。
こりゃなんだ!っていう
驚きがあり、
そのうえで共感もある。
(ぼく個人的にも
両立には思うところがあって、
「仕掛け」にこだわって作っていたのも、
手品的な驚きを求めていたからで、
でも最近は、仕掛けを使わないでも
共感してもらえる表現(絵本やイラスト)
についても
奮闘していたんですが、
そろそろ、その両立を
ちゃんとしないとな、
と思っています。)
これを読んでいるあなたにも、
なにかとなにかの「両立」について
思い当たることがあるのでは?
2020/08/17