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ロックウェルの真似

スタジオジブリで「耳をすませば」の
監督をした近藤喜文が好きで、
ふとふり返ると」(徳間書店)
をたまに見るんだけど、

そこに、好きな作家として
林明子、ロックウェル、鏑木清方を挙げている。
市井の様子、
些細なドラマを描くのが共通点。

近藤喜文のスケッチを見ると、
林明子に似た雰囲気を感じたので、
それはとてもよくわかるのだけど、
ロックウェルって、
あのリアルな絵を描く人だよな。
鏑木清方に関しては
「鏑木」って何て読むの?レベル。

そこで、図書館でロックウェルと、
鏑(かぶら)木清方の画集を
借りてきた。

そもそも、
「表情を活き活きと描くための参考」
という目的があったので、
ちょっと真似して描いてみよう、と。

ロックウェルの画集を見ていると
写真のようにリアルな絵なのに、
よーく見ると、
かなりデフォルメされている。

その様子がおもしろくて、
ときどきくすっと笑ってしまう。

美人の高校生のチアリーダー3人が、
間抜け顔で座っている絵とか、

学校のプロム(舞踏会)に行くのに、
ドレスを鏡の前であてがっている
ボーイッシュなスタイルの女の子、
表情を見ると怪訝な顔をしている。
「これ、ほんとにあたしが着るの?」
と言っている声が聞こえてきそう。

(前回書いたアニメ「日常」
「あそびあそばせ」とかにも通ずる
コメディの匂いがする)

それで、一番面白かったのが、
上の絵の、
ずってんころりんしたらしい女の子。
なぜか満面の笑み。

このミスマッチさが、
笑えてくるんだけど、
この独特な表情はどこから来るんだろう?

ぱっと見ると分かりにくいけど、
真似して描いてみると、よくわかる。

髪の乱れ方、リボンがゆるゆると
垂れている様子、
胸のボタンが外れてだらしない首元、
たるんだ靴下、はみ出したシャツ。
にも関わらず、
腕をふんばるように、椅子をぎゅっと
掴んでいる。

外見だけみると、かなりダメージを
負っているんだけど、
心は全然元気だよ!という声が
聞こえてくる。

表情だけでなく、
腕の力の入れ方が一役買っている。

…絵ひとつから、こんなドラマというか、
物語が読み取れることに、
目からうろこ。すごく面白い!

絵はただ見ているだけだと、
スルーしちゃうけど、
真似して描いてみると、
思わぬ発見があるなあ。

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