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テキスト都合の世界

下半期から翌年春にかけて
面白そうな企画がいくつかあって、
どれもこれも、自信をもって
発表できるものにしたいし、
できるだけたくさんの人の
心をくすぐれるようなものを作りたい。
 
それにあたって、言葉あそびについて
もうちょっと整理して考えたい。
 

 
ことばって本来「モノ」ではなくて
目で読み取って、頭で解釈して、
はじめて意味となるもの。
 
…ということは、
ことばから読み取るのは、
「イメージの世界」ということ。
 
言い替えると、
ことばとは想像力の産物で、
ことばがあれば、いくつもの世界を
持つことだってできる。
 
たとえば、本を読めば、
見たこともない、経験したこともない、
自分のいる現実とは違った世界を、
「頭の中の現実」として持つことだって
できる。
 
ここでおもしろいのは、
文章の中の世界は(ある必然性をもって)
独特な書き方をしたり、
書き換えしたりできるということ。
 
子ガモ223
 
たとえば「鏡の国のアリス」。
列車の客室に乗り合わせた人々が
とにかくアリスに言うことを
コーラスで真似するというシーンがある。
 
「(うんざりした)アリスは、
「口に出してしゃべっても
しかたがない」と思いました。
今度は、声のコーラスが起こりませんでした。
なぜって、アリスがしゃべらなかったからです。
でも、驚きました。みんなが一緒に、
一斉にコーラスで考えたのです。」
 
…「コーラスで考える」って、
文章としては書けるけど、
実際にどういう現象なのかと考えると、
よくわからない。
現実の意味から解き放たれている。
これがテキストならではの独特な書き方。
 
もうちょっと例をあげると、
「Horse fly」というハエのことを
「Rocking-horse fly」だと言って
(Rocking-horseは揺り馬
まぜこぜにしてしまって、
揺り馬に羽が生えた不思議な生き物を
登場させたり、
「a Butter-fly」(蝶々)のことを
「a Bread-and-Butter_fly」と言って
焼きたてのパンで出来た羽虫を
登場させたりしている。
 

 
ことば遊びは、魔法のような
不思議な存在感をもつ。
 
テキストベースの世界が
(コーラスのまねっことか、
似た言葉を繋げる、とか、他にも
同音語とか、いれかえ言葉などなど)
言葉においての都合や必然性によって
書き換えられたものを、
現実にビジュアル化する際に
魔法のような現象が起こる。
 

 
ぼくがやりたいのはそこで、
テキスト都合で生じる世界を
イメージとして描きたい。
もっというと、テキスト都合の
「動きそのもの」をビジュアル化したい。
 
こんなことを書くと、何を言っているんだ、
と思うかもしれない。
でもぼくもなんだかよく分からないけど、
なんとか面白くしたい。

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