あの飛行機に乗って
昼間が暑いと、夜の涼しさが
一段と嬉しくなる。
室内にこもることが多いので
外に出て空をあおぐと、
すっきりした気分にもなる。
目のはしで、ぴかっと光るものを感じて、
見てみるけれどなにもない。
目の疲れ?いやそんなはずは…。
と思っていると、
飛行機だった。夜間飛行の点滅。
気がつくと、すぐ横にも、もう一機。
あら、またもう一機。
目の届く範囲の空に3機も。
何百年と昔から、
「あの星まで手が届けば…」とか
「あの星に乗って…」などと言われてきて
いまやロマンチックの代名詞となり、
横に心ある恋人でもいるのなら
気遣った微笑みを頂戴できそう。
なんだ、恥ずかしいではないか。
同じく夜空で光っている
あの飛行機だったら、胸を張っていえる。
「ぼくはあの飛行機に乗るのだ」
「あ、そ、じゃ空港いけば」
ああ、そうそう、そうだ。
このしらけたかんじこそが
現実なんだ、現実。と実感。
*
踏切で待っていると、
轟音とともに列車が過ぎる。
ぼくは目を左から右へきょろきょろ
高速に移動させながら、行き先を読む。
「やや、池袋は右方向にあるのか。」
とか、道に迷いかけた時などは
そうやって位置を把握する。
これ、飛行機でもあればいいのにと思う。
あの飛行機を双眼鏡で覗くと
「関西国際発アムステルダム行」とか
「成田発ヘルシンキ行」とか、
よく分かんないけど行き先が見えると、
おお、と思うだろうな。
あそこに自分が乗っているとしたら
どんな気分だろう、と想像すると楽しい。
最近、海外旅行にでかけようとして
わくわくしながら荷作りやら
支度をする夢を見るし
(支度するだけで目が覚めるけど)
どこか別の場所に行きたい願望がある。
どこに行きたいかは分からないですが。
2013/05/15