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「手の届かない」味

なにかを見た時、
誰かと会った時、
たまに、味を思い出すことがある。

あ、このおばさん、
ブルーチーズっぽいな。とか。

きみは、チンジャオロース。
とか。

古くなったすっぱいキムチみたい。
とか。

それは共感覚というらしくて、
感覚の交通整理が
ごちゃっとしたものらしい。
(よく知らないけど)

目でみたものを味で感じてみるって
面白いよなあ、と思う。

赤ちゃんが、まるで
手で触るように、
とりあえず口に入れてみる
というのも、
好奇心として、
たしかにな、味でも
感じてみたいよな。と
勝手に共感。

そこで、こんな妄想をしてみる。

目では見えるけど、
ぜったいに味見してみることが
できないものを、
あえて味で例えてみるっていうことが
なんとなーく、面白いなと。

●たとえば、月の光ってどんな味?

=早朝の葉に溜まる露に、
はちみつと、バニラを
たらしたような味。

みたいな。

●光は光でも、
ろうそくの光ってどんな味?

=ちょっとさびたような、
ほこりの味。

●オーロラの味は?

=苦い岩肌のような、
ざらざらした味。
舌の上でぱちりとはじけて、
びっくりさせる味。

●虹は?

=キャンディの味。

●入道雲の味は?

=バナナみたいな、
とってりとした甘さ、
それから、きれいな水のような
冷たさ。

●聖歌隊の歌声はどんな味?

=すこし刺激があって辛いけど、
口の中を泳がせているうちに
やさしくなる。
古い木造の家の匂いのある味。

●雷の味。

=とても口には入れてられない。
舌をやけどします。
薬品のようなすーんとした
後味がのこります。

●車のテールランプは?

=苦くてまずい。
消毒液の味。

●冬の空の星の味は?

=甘くて、口の中で
細かくふるえて響き、しゅわしゅわっと
クリームソーダ味になる。

そんなことを延々としているのが
たのしい。
こういう妄想って人と共有できるもの?

なんか、分かる!
って思えるものが、ひとつでも
あったらうれしいし。
そうじゃない意見も聞いてみたい。

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