「役に立つことば」の具体例
緊張したときに、手のひらに
「人」という字を書く。
受験など勝負事の前に
「カツ」を食べる。
年の初めにひいたおみくじが
大吉だったので、財布に入れておく。
神社へのお賽銭はご縁を求めて
必ず「5円玉」。
おせち料理にまめをたべて、
まめに気が遣えるように願う。
などなど、験担ぎ(げんかつぎ)
っていろいろある。
上記のような良い例もあれば、
ホテルやアパートの部屋番号に
4(死)や42(死に)、
49(四苦)を使わない、
良くない数字を避けることもある。
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…でも験担ぎって、
間接的な効果だよなと思う。
おいしいものを食べておいしいと思う。
筋トレをして体を鍛える、
知識を得て、行動に活かす…など
物理的な体験による因果関係で、
「役に立つ」というのはわかりやすい。
だけど、間接的な効果ってわかりにくい。
ただの思い込み、迷信だと思ったり。
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しかし、こんな体験がある。
食べてもいないのに、
うめぼしを目の前に並べられると
見ただけで口の中に唾液が出てくる。
これって、間接的に起こる反応だよな。
言葉でも同じような現象があって、
よくあるのは、メールしてる時に
「~でいたいです」というのを
「~で遺体です」になったり、
自分の名前を「西村」でなく、
「二死無ら」と
ミス変換して不穏な気分になる。
遺体が目の前にあるわけでも、
自分が死ぬわけでもないのに。
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これの延長線上に
験担ぎがある。
つまり言葉は効能をもっている。
…
ということは、それを
良いように利用しようと思えば、
言葉は自然と役に立つものになる。
偽物の薬でも、
「これは良く効く」と言われて
服用すると、
本当に効果があるといわれる
プラシーボ効果にも似ているし、
声に出す(もしくは心の中で発する)だけで、
コンプレックスやマイナス思考を
望むように変えることができる、
ということを研究して
実証している人もいるらしい。
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験担ぎには、実際に効果がある、
ということが分かったところで、
「じゃあ」と、ぼくは思う。
じゃあ、ファッションと同じように
今日の気分でことばを選んで、
身に着けるタイプの験担ぎが
あったらいいじゃない。
素材は加工しやすいアクリルか、
木か、あるいはボール紙みたいな
厚くて丈夫な紙でもいいかも。
それを文字の形に切り抜いて、
ブローチ(バッヂ)にして
鞄や、帽子に着ける。
フレーズはこんなのどうだろう?
「なかない」
「げんき」
「100点」
「おちつけ!」
「だいじょうぶ」
「大吉」
*
たとえば、
小学校低学年の男の子が
初めてひとりで電車に乗って
おばあちゃんちに行くときに
おまもりとして
「なかない」ブローチを
リュックにつけている様を
思い浮かべてほしい。
男の子はお母さんからもらった
ブローチを決意を持って
身に着ける。
さらに言葉のブローチは、
男の子を見た通行人に、
「かわいさ」を物語として伝える。
着ける方も、見る方も
良い効果をもたらす
その名も
「勇気のわく
ことばのおまじないバッヂ」
これを実現したい。
2018/05/25