いま作っている2冊について
いま、出版社さんと一緒につくっている
絵本が2冊。
ひとつは「このかべどうする?」につづく
シリーズの2作目を。
前回は課題解決力がテーマだったんだけど、
今回は創造性がテーマで、
「わたしのいすのつくりかた」というのが
仮タイトル。
(そもそも、創造性を描く上でなんで
いすなんだろう?という理由はひとまず
別の機会に置いておこう。)
自分だったら、どんな「いす」をつくりたい?
自分らしい「いす」ってなんだろう?
と実際に考えてみる。。
そもそも、いすに限らず、
自分のオリジナルのものを作ろうとするとき、
自分らしさって、なんだろう。。
と、途方もなく思えてくる。
自分じゃなきゃ作れないものって…。
考えれば考えるだけ、謎として深まっていく。
自分が好きなものを自由に作ればいいんだ
って言われると、楽しさいっぱいな分、
なかなか大変でもあって。
*
イラストの仕事のように、
フォーマットやレギュレーション
みたいな決まり事が、前提として
はっきりしている方が考えやすい。
ひとつ欠けているパズルのピースなら、
自分でも「すき間」の形にそって
ぴたっとはめられるように作ればいい。
けれど、たとえば、
パズルそのものを0から作ろう、
ということになると、
いったい、どんなパズルにしようか?、
そのパズルはだれが遊ぶのか?とか、
どんな絵柄にしようか?とか、
考える余白が俄然ひろがる。
*
自分自身に置き換えて考えると
「わたしの好きないす…か。
考えたこともなかったな」
と思えて仕方ない。
具体的に「こういう悩みがあるから、
それを解決させるためのいすがほしい」
というと、
それは創造性というよりは
課題解決としての考え方だから、
そうじゃなくて、
もっと無意味じゃなきゃいかんなと。
役に立たないんだけど、
なんか好きっていう感じ。
「これに座っていると、
実用的な効果があるわけじゃないんだけど
気分がわくわくしてくる。」みたいな。
心が充実して、自分に自信が持てる気がする、
そんなものを作れることが「創造性」の
行きつくところなんだと思う。
*
と思ったところで、
じゃあ、好きに作るんだ!と
放り出されたら、まずは、なにから始める?
いちばん手が付けやすいのは、
まずは調査から始めること。
自分はどんないすを見て「わくわく」と
感じるのか、
辺りや椅子の歴史を探してみる。
そして、次の段階。
たくさんの「好きないす」に囲まれたあとは、
そのなかでも「自分で実際に作れるのは、
どういうものだろう?」と
取捨選択する必要がある。
…
*
と、ここでいったん
もう一冊のほうの企画の話。
じつは、いま目下で進めているのは
こちらの方で(まだ詳しくは言えないけれど)
とある企画の絵を担当させて頂いている絵本。
「主題に適した絵をどうやって描こうか」
と悩んでいるところ。
これもよく考えたら
「好きないすを作っていいよ」と
さっき書いた悩みとおんなじ過程にいるなあと。
どうやって絵本に合った絵を選ぶか、
どんなものが自分自身でわくわくできるか、
と悩んでいる真っ最中。
どうやって描いたら、画面が豊かになるかな、
自身でテンションの上がる方法って
どんなのかな?
そう思いながら、資料を集める。
モチーフの参考資料はもちろんのこと、
絵の描き方の参考になりそうな絵も
たくさんかき集める。
次に、好きだと感じていても、
自分自身にできる表現か、
できない表現か、で取捨選択する。
どこなら、実現可能か。
実際にためしながら、
「好きな絵柄」と「自分の得意分野で描けるか」との
両立を目指して、紆余曲折。。
*
この実際の体験を
ちゃんと記録にとどめておいて、
「わたしのいす」に
活かさぬわけにはいかないな
と思っている。
この思わぬ2冊のつながりが
見つけられて、おもしろい。
2024/08/20