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真夜中の契約

あまりこういうことは
おおっぴらにすることではないけど、
じぶんは精神的な齢が
年少だという気がしている。
 
サーカス146
 
といっても「少年のようだ」という
褒め言葉とは縁遠い。
 
「少年のようだ」には、
明るいエネルギーに満ちているが
ぼくの場合は、
もっと不都合な意味での
年少なのである。
 
宮崎駿に影響を与えたと言われる
「沙漠の魔王」の作者、福島鉄次は
こんなことを書いている。
 
「どんな時も元気で、
何事にも負けない少年、
いつも明かるく、
正しい道を進んで行く少年、
このような少年が今の日本には
必要なのです。以下略〜」
 
読んでいると、
絶対に手に入りそうもないものを
ショーケース越しに
眺めている気分になる。
実際には行動に出せないとしても、
こういう文章を読むだけで
うっとりしてしまう。
 
こうなりたいという願望が
現実的に不可能だと思うほど、
そこに憧れを持つようになる。
 
少年少女たちが
はじめて「現実の感触」に
ふれるとき、その反動のように
何かに熱中する。
 
周りの雑多な念に、かき消されて
しまいそうなときこそ、
憧れという感覚が
救世主のように育ち始める。
 
自分の中にある保守的なものを
大切にしようとし始める。
そういうことが「子ども時代」に
あるものだと思う。
 
けれどぼくの場合、
現実の感触にふれるという時期が
もはや「少年」ではなかった
ような気がする。
 
大学を卒業したあたりから
だろうか。
 
今になって、
やっと子どもの仲間入りを
果たしたのだ!と
真夜中の布団にもぐりながら
実感するのであった。
 

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