読み方の重力


 
言うまでもなく文章は縦書きだと「上から下へ」、
横書きなら「左から右へ」読んでいくという規則があります。
 
規則というか、もはや感覚的にそう読んでしまうもの、
「読み方の重力が働いている」と言った方が正しい気もします。
 
日本語を表記した時点で、その重力は作用してしまう。
その境界線はどこにあるんだろうと思いました。
 
たとえば文の角度を斜め45°にしたら、
縦書きとして読んでしまうのか、それとも横書きとして認識してしまうのでしょうか。
 
この曖昧な領域を確かめてみたくなりました。
 
そこで今回のトップイメージ。「むっつくるま」という言葉。
これは逆さから読むと、「まるくつつむ」という文になります。
 
回文は逆さから読んでも同じになるけど、これは別の文になるという回文の親戚。
(のようなもの。なんて言うんだろう。)
 
「む」始点から読むか、「ま」始点から読むかで頭の中に入ってくる意味が変わってきます。
ここでは縦書きとして認識すれば「む」始点として読めます。
横書きと判断できれば「ま」始点として読む事が出来きます。
 
では、実験。というわけで、すこしづつ角度をつけながら、どこまでが、縦読みゾーンか。
どこからが、横読みゾーンか。この境界線はどこだろう、と探ろうとしたものです。
 
だんだん錯視して見えて来て、あっちからでもこっちからでも
読めてしまうようなぼやぼやした感覚になります。ああ、これは面白い。
読み方の無重力を体感したような気分です。
(大袈裟か。)
 
(2012/9/28)

 
 
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