段音によるトーン


 
言葉をながめていると、母音を軸にした「段」の音に一定のトーンが
あるような気がしてくる。
 
「あ段」は明るいイメージとか、
「い段」はするどい小さなもののイメージがあるとか、
「う段」はやわらかなかんじ、
「え段」はなんだか頼りなく、
「お段」はひろがりや重厚感がある。
などなど。
 
各段にあたる文字だけを使って短い作文を書いたら、
なにかのイメージが抽出できるだろうか、という実験。
 
普段使う言葉はそれぞれの段が混ざり合っているのではっきりとは認識できないけれど、
こうして純粋な要素だけで作るとなにかが見えてきそうな気がする。
 
気分というか。雰囲気が濃くなるというか。
科学の実験みたいに言葉を蒸留したようでそれぞれに気持ち良さがある。
 
おもしろいのは、言葉の意味と音の雰囲気が似合っている、ということ。
 
あ段の伸びやかな音と「柔らかな朝」。
 
い段の高く細いような音と「凛々しい響き」。
 
う段のふくふくとこもる音と「くすぐる夫婦」。
 
え段の気の抜けたような音と「めげてヘベレケ」。
 
お段の低く重たい音と「男の炎」。
 
(2012/10/27)

 
 
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