worksは8/24に更新しました.

社会状況を知る必要

自分の今いる時代のことが
よく分からない。
 
どんな体制やシステムの中で
暮らしているのか、とか
社会情勢や流行の考え方とか、
日々どういう感情で過ごしているのか、
共通でみんなが感じていることが
あるのか、などなど、
まったく、よく分からない。
 
普段ぜんぜん意識しないし、
熱心に考えることも無い。
たぶん当たり前すぎて、
あらたまって考える余地がない
のかもしれない。
 
勉強不足だと思って怖くなる。
いや、勉強不足というよりも、
世間知らずという方が正しい。
 
もし、自分が日頃感じている気持ちの
原因を、知識によって推定し、
地図のように整理できれば、
考えや想像も拡張されるんだろう。
 
山のベンチで110
 
結局なにが言いたいか、というと、
ケストナーの「一杯の珈琲から」という
本の面白さについて、です。
 
ケストナーは、舞台作りがユニーク。
基本設定というか、話の土台に
いつも仕掛けが込められている。
 
主人公のゲオルクは、兄の事業の
おかげで働かなくても暮らして
いけるのだけど、あるとき、
「演劇のお祭りがある」と友人に
誘われて、住んでいるドイツから、
しばらくの間、隣国のオーストリアで
過ごすことになる。
 
しかしどういうわけか、
この時代(1940年くらい)には
こんな規則があるようなのです。
「ドイツからオーストリアへは、
為替管理局に申請しなければ
月10マルク以上は持ち込めない。」
 
しかも管理局の怠慢から、
許可が何ヶ月もおりない。
 
普段はお金になんの不自由も無い彼が
オーストラリアに滞在中は、
ほとんど無一文同然になってしまう。
 
あるとき彼は、カフェでお金が
払えない状況に陥ってしまう。
どうやってこの危機を乗り切ろう…
という時に、若い女の子と出会い、
助けてもらう。
ここからまたユニークな方法で
恋の物語が展開する。
 

 
誰もが面倒だと思う「国の体制」を
小説の面白い仕掛けとして
取り入れてしまう。
 
こういうことは、
なかなかできるものじゃない。
現代の日本ではどんなことが
言えるのだろうか、と思う、
でも思うだけ。

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