worksは8/24に更新しました.

湯舟で山越え

夜の丘陵は怖い。
 
最寄りのバス停を降りて、
家に辿り着くまでに
小さいひと山を越える。
 
その途中の200mくらいは
完全な森の中。
街灯もないので、
ほとんど何もみえない。
物音もかすか。
 
おもちゃの兵隊さん076
 
暗さに慣れると
月明りで目が冴えてくる。
音にも敏感になる。
 
そのために神経の感度が高ぶり、
好奇心に似た興奮と
恐怖の両方が襲ってくる。
 
ほとんどの場合は、
恐怖がやや勝ってしまう。
 

 
灯りのない夜の森なんて
神聖な感じがして美しいのだけど、
怖さが気になって十分に味わえない。
 
そこで、どんな防具を備えていれば
暗い森の中でも怖がらなくて
済むだろう、と考えてみた。
 
結果から言えば、それは湯舟だと思った。
 
湯舟に車を付けて移動式にする。
前面はガラス張りにして、
シュノーケルで潜りながら
運転をする。
 
これなら怖さも、さほど感じない。
 
闇の中に湯気がきらきら光る。
顔を出して深呼吸すると、
土のいい匂いの冷えた空気が
おいしい。
 
耳を澄ませば、
湯のちゃぽん、という音が
こだまする。
 

« »

サイト管理