worksは8/24に更新しました.

本当らしさは大人のもの?

ピエール・グリパリという
フランスの作家がいます。
 
「木曜日はあそびの日」(岩波少年文庫)
を書いた著者。
その「まえがき」が面白い。
 
子供のために書かれた本なのに
大人のための断り書きが
書いてあるのです。
 
要約すると、
「信用ならない物語かもしれないけど
これは真実よりも意味のある物語
なのである…」
ということを言っています。
 
なんだか言い訳のようでもあるし、
切実な訴えのようでもある。
なぜ、そんなことを言う必要が
あったのでしょうか。
 
その理由は、以下引用。
「パリっ子が物語を好まぬという事実、
このせいだとわたしは思っています。
フランス人は真実を求めます。
それがない場合には、それらしい
リアリズムを要求します。」
 
つなわたり163
 
物語は、
赤いくつ下を履いた4mの大男や、
未来を予言をするゴム人形が出てきたり、
ジャガイモとギターが恋に落ちるとか、
宝石がゴムで作られたり、
マカロニの木が生えたり、
このような事実無根の空想で
出来上がっている。
 
これがパリっ子には
受け入れられないのだといいます。
時代の雰囲気っていうのが
あるのだろうか。
 

 
ぼく個人としては、
面白がってしまう。
 
「ことば」の特徴は、
なんでも言えること。
嘘の話でも、あり得ないことでも、
語ることができてしまいます。
 
ありえないことが起これば
現実の壁を
押し広げてくれるかもしれない。
見たことも聞いた事もないことが
頭の中で広がるから。
 
本当らしさが大人っぽいもので、
真実味のないものが子供のもの、
というふうに
自然と隔てられている。
 
朝の食卓でおとうさんが絵本を、
寝る前の子供がおかあさんに新聞を
読み聞かせしてもらっていたら、
やっぱり変なんですよね。
 
それはどうしてなんだろうと思う。

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