worksは8/24に更新しました.

字義通りの天使ちゃん

人助けをするために、
天から舞い降りた天使がいます。

この天使というのが、
とにかく、人の国が初めて。

良く言えば、無垢。
そうではない言い方を選べば、
世慣れしていない、というか。

1を聞いて1を知る。
まっさらで、おろしたて、
そんな子が、
わたしたちの暮らしに入り込んだら、
どうなるのでしょうか?

老天使たちが、
「人がどれだけ無意識のうちに
「空気」を読んでいるか、
自覚するきっかけになる」
と言ったとか、言わないとか。

ともあれ、天使は、
舞い降りた。
そしてお手伝いするおうちに向かう。

歩道をあるいていると、
「とまれ」の標識だ。

律儀に止まる。

まわりの人間たちは、
左右をきょろきょろして
大丈夫そうなら、
渡っていくが、
天使は、ずっと止まってる。

それから、しばらくして
「これ、いつまでとまれなの?」

やっと目的のおうちに着く。

女性が出てくる。
「あらあら来たわね、待ってたわ。
わたしがママよ。」

中に入って、
こんどは家族を紹介。

「これが、パパで、」
「これが、お姉ちゃんと兄ちゃん」

「うん」と天使はうなずく。
ママは、ちょっと試すつもりで、
自分の顔を指して
「じゃあこれは?」と聞く。

天使「鼻」。

お手伝いをするので、
お盆でジュースを運ぶ天使。

ころんで、こぼしてしまう。

ママが、苦笑いしながら
「こうでもしなきゃ、掃除しないんだから、
いいのいいの。」

「そうなんだ」と天使。

ぼくも掃除する、といって、
ジュースをそこらに、こぼしてまわる。

回覧板を、となりにまわす、
という指令をうけて、
きっちりとこなす天使。

おとなりさんに
「あらありがとう。
ママによろしく言っておいてね」

と言われ、
おうちに帰り、
夕食の準備をしているママに
「よろしく!」
そういうと、満足げに
部屋にもどっていく。

ママは困って、「…どしたの?」

くしゃみしそうな、お兄ちゃん。
天使に「ティッシュもってる?」

「えーとねえ」
とバッグを探す天使。

「あった、ティッシュ、
持ってるよ!ほら!」
そういって、またバッグにしまう。

はくしょん!
「いやそうじゃなくて…」
はなたれながら茫然。

おねえちゃんに、
「水、もってきてくれない?」
と頼まれる天使。

水、水、どこにあるかな。
家じゅうを探し回る。

あったあったと、
しとしとの雑巾を持ってきた。

机の上で、
ぎゅーっとしぼって。
「ほら水じゃん」と
どや顔。

お姉ちゃん
「いやー!」
天使(なんか違うみたい…)

日常生活で、ことばを使う時、
ことばにしていないことも、
意味に含めて伝えようとすることが
よくあります。

天使のしていることは、
文字通りの意味にしたら、
たしかに間違えではない。

でも、本当はそうじゃない。
本当はそうじゃないことに
「ことばにしないでも伝わるってすごい」
と思うと同時に、
なんで、それで伝わるんだっけ?
とも思う。

変なのは、天使じゃなくて、
じつは、自分の方なんじゃないか?
と、さえ思えてきます。

「言わなくても伝わっている」
ということに、もっと自覚してもいいし、
その現象について、もっと不思議に
思ってもいいのになと思うんですよね。

これ、マンガにしてTwitterに載せようっと。
緊急事態宣言が出たから、
おうちにこもってできることを増やそう。

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