worksは8/24に更新しました.

妖怪がうまれるところ

大きな河がゆったりと流れるように
妖怪ブームはとぎれない。
「もの」であるキャラの方が
流行っているけど、
「こと」である怪異も飽きられない。
 
古い家屋であったり、
小学校のトイレ、人里離れた山中、
寺や墓場…。怪異には、
どことなく懐かしい日本っぽさが
あるような気がする。
 
しかし現在の怖い話と言えば、
もっぱら幽霊、亡霊、地縛霊。
つまり、もともと、人だった、
というのが、多い。
 
アパートのおしいれやお風呂
コンビニ、ビルの合間、公園など
都会にも進出してきている。
 
怖い話をする人たちが
生活する場所を中心に
おばけは現れる。
人前に出ないおばけなんて、
おばけではない。
 
人が体験をして、初めて、
それは怪異ということになる。
 

 
ということで、
ぼくも高校生の時に体験した
奇妙な体験を書こう。
 

 
陸上部だったぼくは、休みの日も
たいてい走りに近所に出かけていた。
 
近くにひろい丘陵公園があって、
丘なりの雑木林がいたるところにあった。
 
夕方近く、そろそろ日も暮れ始めようか、
という頃に誰もいない林道を
走っていると、向こうの草陰が
がさがさ動いている。
 
小太りの学生服を着た男が
道の端に出てきた。
上は白シャツ。
鉢巻の上から学生帽をかぶって、
応援団のような旗(多分手作り)
をもっている。
 
そこまでだったら、まあ、
応援団の人が練習しているんだろう
と、思うが、
奇妙なのが、白シャツと鉢巻に
びっしり般若心経のような
筆の字が書いてあった。
 
旗にも同じような筆文字が。
 
それがぼくの進行方向にいて
道は一本道なのだ。
 
彼はずっと無言だったのだけど、
通りすがる瞬間に、なにか
叫びながら、追ってきた。
すぐあきらめたみたいだったけど。
 
その後遠くから2回はみた。
多分実在する変なコスプレ癖のある
徘徊おじさんだと思うが、
ああいうのが、後々、妖怪として
語り継がれるんだろうな。

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