worksは8/24に更新しました.

土は汚くない…

フランスはプロヴァンスを舞台にした
「マルセルの夏~プロヴァンス物語~」
(1990年)
という映画がある。
 
時代は19世紀末、
夏休みを家族そろって田舎で過ごす、
なんていう、ありきたりな物語なんだけど、
こまごました描写が好きで、
たまに観かえしたくなる。
 
どんなのが好きかというと、
たとえば、こんなの。
10才くらいのマルセル少年が、
田舎の道端でドレスを着た少女と出会う。
 
話してみると、私は貴族の娘で、
迷子になったから案内しろ、という。
 
心優しきマルセル少年は、
その道々、土の根をわけて、
すっぱくておいしい実を
とって彼女に食べてごらんといった。
 
しかし女の子の反応は、
「汚い」であった。
 
マルセル少年は手早く
ズボンで手を払ってみたが、
こういった。
「これは土だから、汚くない、
平気だよ。」
 
このシーンをみたときに、
あ、土って汚いんじゃないんだと
はっとした気分になった。
 
だいたい野菜やお米、
それからきれない花も植物も水も
思えば土があるからできるしなあ。
 
大してよく知らないけど、
大げさな言い方をすれば、土は
生物を支える、まさに縁の下の力持ち、
なんじゃないか、という気持ちが
頭をもたげてくる。
 

 
逆にどうして、土が汚いのだろう、
とも思うようになったが、
そもそも、汚いっていう基準はなんだ、
ってことになるんだけれど。
衛生的に、と考えてみれば、
「本来は」土はきれいなはずなんだ。
 
一方で、服に泥がつくとか、
顔が土埃で黒くなる、という
染みとか、くすみ、という意味での
よごれ、としては
汚いのかもしれないけど。
 

 
植木鉢から、いかにも
おろしたて、というような芽が
ぽっとでているのをみると、
ふしぎな気持ちになる。
 
外をはだしで歩く文化を
持っている人々がいるけど、
あれは、はだしで歩けるだけの
土のきれいさがあるからなんだろう。
 
日本でそれをやったら、土以外のもので
足の裏が切れちゃって
まともに歩けなそうだ。
分かんないけど、そんな気がする。
 
土離れをしてるなあ。
なかなか腰をあげられないし、
よく知りもしないで言うけれど
土に触るような生活をもう少し
知ってみたい。

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