worksは8/24に更新しました.

世界中が味方

フランスの映画、
「ロングエンゲージメント」を見てると
主人公のマチルドに
たびたび共感をおぼえる。
 
それは決まって、
お願い事をジンクスに託す、
というシーン。
 
第一次世界大戦中に、
戦争に赴いた婚約者(マネク)が
無事に帰ってくるように、
マチルドは何度もこころみる。
 
出征の日、
車に乗り込んだマネクを見送った後、
マチルドは先回りをして走り出す。
 
「車より先にカーブに辿り着けば
マネクは無事に帰ってくる。
先にカーブに辿り着けば…」
 
と繰り返しながら。
 
来たわ!133
 
日が暮れかかる部屋で、
ベッドの上でこう考える。
「夕食前に飼い犬が部屋にくれば、
彼は無事に帰ってくる。」
 

 
列車の個室にゆられながら、
「7数えるあいだに、
トンネルに入るか、車掌が
入ってくれば、彼は無事。」
 

 
結果どうなったか、
これは演出として素晴らしい。
 
カーブに辿り着いた時、
車はやってきたが違う車だった。
 
「夕食だよ」という声と同時に
犬が部屋に入ってきた。
 
6つ数えた時に
「キップを拝見」と入ってきたが、
それは車掌ではなく、
エイプリルフールで悪戯に来た
知らないお客さん。
 

 
まだ希望があるような、
けれど、まだ決まったわけではない。
…観るものをどきどきさせる。
 
勝手にルールを決めて、
それに沿えばすべてうまく行く。
ということは自分でも
よくやってしまう。
 
これは直に解決に
結びつく行動ではないから
一見、無為に思える。
 
じゃあ、なんでそんなことを
するのかしら、と考えてみる。
 
いつでも希望を絶やさないため、
なんだろうなと思う。
 
世界のすべてが
自分の味方について動き出す、
という錯覚が
自らを突き動かす原動力に
なるのだと思う。
 

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