ヨーコ先生
「思い出を脳の片方に入れなさい。
そこに閉じこめ、忘れなさい。
脳のもう片半分に
それを探させなさい。」
早朝起きて、猛烈に不安になることがある。
ぼやけた目で机の上のめがねをとろうとして
一緒にケータイと飲み差しのコップをおとして
狼狽する。。
というのはどうでもいいんだけど、
さいわいコップは割れなかったので、
めがねをかけ、本棚によりかかる。
何か読んで落ち着きたいと思って、
グレープフルーツ・ジュースを手に取る。
ヨーコ先生!と心のなかで叫んで読む。
たいがいは意味がわからない。
それでも、なにか思い当たるものもある。
それが最初に書いた一説。
*
ふと、あーこの感じ子供のころの感じに
そっくり。と気が付くことがある。
とくに季節の変わり目とか。
子供のころの思い出より、今だろ、今、と
思うかもしれないけど、
実は今の自分ってものすごく空っぽだなと思う。
何かを感じる才能の黄金期は子供のころだった。
実際、脳の中に走る電気信号も、ものすごい量
なのだそうな。
それがだんだん、必要なものだけに整理されて
いくんだけど、もはやいまや
整理整頓しつくされた感がある。
あとは、思い出すことくらいしかできない。
本を読んで感心するところって、だいたい
昔感じた気持ちをそこなうことなく書いてあるとき。
ヨーコ先生、思い出探します。
2016/06/06