worksは8/24に更新しました.

ない場所にあるもの

科学のはなしが面白いのは、
当たり前のことが、当たり前でなくなる
というところ。
五感では感知できなくても、
あるフィルターを通してみると、
さまざまなものが見えてくる。
 
たとえば、空にはなにがあると思う?
という質問に対して、
「なにもない」と思っていたけど、
これがそうでもないようなのです。
 
たばこの煙に強い光を当てると、
光は煙で分散されて青い色になる。
 
これが空の青さと同じ仕組みらしい。
つまり、空はたばこの煙のようなもので
みっちり埋め尽くされている、
ということになる。
 
感覚では晴天の空には「なにもない」と
感じるけど、実は、
光を青くさせる細かな物質で
いっぱいだったのだ。
 
大気は物質だから、もちろん重さもある。
手のひらを空中に差し出すと、
その上には、手のひら分の面積で
高さ150km(大気圏のてっぺん)までの
空気が乗っていることになる。
その重さは約150kgほどだという。
 
これを感じないのは、同じ力で
押し返すだけの圧力があるからなんだけど、
他にも、肺にかかる圧力は1トンほどに
なっているそうだ。
常にものすごい重圧の中で生きている
ということが嘘みたいだけど、
どうやらそうらしい。
 
よく気圧の関係で体調が変動する人が
いるけど、
これももっともな気がしてくる。
 

 
これは物理学者のウォルター・ルーウィン
「これが物理学だ!」という本から
引用している部分があるんだけど、
もっとも面白いところを以下引用。
 
「〜略〜目に見えず、特に注意も払わなかった
重力や空気圧のようなものが、
じつはあらゆる現象の中で最も魅惑的なのだった。
 
それは川を楽しげに泳ぐ二匹の魚の小話に似ている。
一匹がいぶかしげな表情で、もう一匹を見て、
こう言うのだ。
「最近騒がれてる”水”とかいうやつは、
いったいどんなものなんだろうな」」
 
地球の軌道に乗っている宇宙船が
無重力なのは、
重力がないからではなく、重力があるから
無重力状態が続くのだ。という。
 
つまり重力によって落下しているのだが、
高速で移動しているために、
地球の表面は弧を描いて遠ざかり、
永遠に落下を続けることになる。
 
というように、ない、と感じている
ものごとにも何か見えない力が
働いている。
 
そこを想像するとき、魅惑的な面白さが
心をくすぐる。

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