でたらめな組み合わせ
正宗白鳥の「入り江のほとり」に、
辰男という代用教員が出てくる。
教員といっても免許をもった
正式なものではなく、
知識も確かなものではない。
けれど彼のライフワークは、
じぶんの好きな英単語を
自由に組み合わせて作文すること。
しかし彼の兄から、そんなでたらめは
やめてちゃんと勉強して
免許をとる試験を受けろといわれる。
周りに受け入れられない辰男を
見ていると、
さみしくてやりきれなくなる。
なぜならぼくも同じように、
でたらめなことばを組み合わせて
楽しんでいるからだ。
長靴に水
ヘンゼルとクレーター
辞書わずらい
深呼吸の利息
スケードボードとスイートポテト。
朝の幼稚園
ゴムガエルと暮らす
大陸の回線
無臭の雨
きりんのげっぷ
木星の数学
無数の礼拝堂
内職の恐竜
歯もまばら
６時のはぶらし
角砂糖のさいころ
長方形の魔女
息子の永劫機関
マニキュアのマニュアル
地下室にいる日焼けのゴリラ
＊
こういうのを書いていると
ごめなさいという気持ちで溢れかえる。
2013/02/28
