しびれる思考
本棚の前にたって、
ぼーっと眺めるのが好き。
例えば、トイレに十数分入る
緊急の予定があるときなど
ぎりぎりまで本棚の前で
心を落ち着かせる。
さあ、どれだ。
どれにするんだ。
今回ともにする本は…、
これだ!
マリリン・ボス・サバント著
「気がつかなかった数字の罠」を
手に取って駆け込む。
*
マリリン・ボス・サバントは
いま74歳。
ギネスで世界一のIQとして
紹介された過去がある人。
この本はアメリカで発行されている雑誌
「パレード」にて「マリリンに訊け」という
コラム連載を書籍化したもの。
1996年くらいの発行だが、
パレード誌は現在も発行されていて、
ウィキペディアを見ると、
マリリンのコラムも続いているみたい。
ぼくは、本を読んでいると、
本の内容以上に、その作者のことが
好きになることが多く、今回もそう。
だから、今も続いていることに
うれしくなる。英語が読めれば
取り寄せたいくらい。
*
このコラムは、数学、パズル好きな人には
たまらない内容。
直感的には反することでも、
論理的に証明することができるという
まるで種明かしをされてもなお不思議な
手品を見ているよう。
たとえば、モンティホールジレンマ
という問題。
くわしくはこちらのリンク先で
ご確認を。
*
このモンティホールジレンマについての
彼女のコラムに対して、
おおくの数学者や知識人から
「それは間違いである」という投書が
殺到したらしい。
マリリンはまったく慌てる様子もなく
泰然として、次のコラムを発表する。
ぼくが、彼女を好きになる理由の一つが
以下の箇所。
「私を批判する人の中には、地位の高い人も
多くいた。
しかし、私は何としても理解して
もらおうと決めた。
私が間違っていると多くの人が
思い続けるのは嫌だったし、
間違っているとは思わなかった。
(私は間違うこと自体は気にしないが、
正しいのに間違っていると言われるのは
とても気になる。
これが私の性格の良い面なのか、
悪い面なのかはわからないが。)」
こうして、最終的に、
オセロのきもちい逆転勝利のように
今まで批判していた人が
次々と賛同に転じていくことになる。
それまでの一連の騒動のやりとりも
読んでいていドラマチックで面白いんだけど、
やっぱり、窮地に追い込まれたときの
上で引用した台詞にしびれる。
*
こういうしびれる現象を感じると、
寝る前なんかに、台詞だけ
ふと思い出す。
あれはだれが、どんな状況で言ったことか、
どこで、いつ見聞きしたんだっけ、
うーん、と思い出せない。
マンガのキャラだっけ?
小説の登場人物?
アニメ?
…
あ、マリリンだ!
と思って。
すっきりしたので、つい
書いてしまいました。
2021/05/02