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ことばの実験室 更新2019/4/23

趣味は移動

ぼくの趣味は、
目的と手段を逆にすること。

本来の目的をサブに、
手段をメインにするっていうこと。

たとえば、移動のとき。

目的は画材屋に行くこと。
手段は、自転車で移動。

だとすると、
画材屋に行くことは、
「ついで」にして、
自転車に乗ることをメインにする。
移動を楽しむ。

移動を楽しむというのは
どういうことかというと、
簡単にいうと、できるだけ
遠回りをする。ということ。

だって、その方が長い時間
楽しめる。
到着が「おわり」だから。

もしも、通常通り、
「移動が手段」であれば、
最短ルートを通る。
時間にして15分。

でも、移動がメインだとすると、
最短ルートは確実に通りません。

できるだけ、長い時間をかけて
たどり着きたい。

たった3キロちょいの距離だけど、
そこに辿りつくまでの道は、
実はかなりのルートがあって、
「曲がったことのない道」というのは、
生きている限り、なくなることはない。

曲がり角にも
いろいろあるんだけど、
曲がりたくなる曲がり角を
発見すると、それだけでわくわく。

そして、初めての道にでくわすと
ときめく。

もう何度も読んだ小説なのに、
実は途中で袋とじページがあって、
あれ、知られざる新展開!
みたいな気分。

近所なのに、遠いところに
来たような新鮮な感覚。
これが、たまらない。

家の近くに、線路や川があると
なかなか反対側を知らなかったりする。
こちら側で用事が済んでしまうし、
わざわざ反対側に行かなくてもいい、
というところこそ、
行き甲斐がある。

特に地図をみないで、
初めての道だけを通ってみると、
目をつむって、手だけでモノの輪郭を
確かめている感じがする。

自分がもともと知っていた町の
裏側の凹凸を手だけで
確かめているような
淫靡な悦楽。

こんな風景があったんだ。
と、ぽーっとする。

気が付くと、かなり遠いところまで、
来ていた。
15分のところを、1時間以上もかけて、
たどり着いた。

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