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今回の実験「あたらしいロゴをかおもじサインにしてみました」

見方が変わるキーワード

小学生の頃、水不足を伝えるニュースが
頻繁に流れていた時期があった。
 
ヘリコプターからダムを撮影して
すっからかんになった様子が、
朝の食卓まで届いてくる。
 
学校にいっても、先生が「水不足だから
なるべく水道は節約するように」と言う。
 
なぜ、その時の記憶だけ
覚えているのかわからないけど、
地球上から真水がすべて蒸発して
世界の終わりもまもなくなのだ、
という終焉感を、
大げさに妄想していた。
 
といっても、
実際に自分が見たわけでも、
本当に水が飲めなくて
困ったわけでもないのに、
「水不足」というフレーズを聞いただけで、
周りの見方が変わってしまった。
 

 
目の前にしていないことでも
あるキーワードを聞くだけで、
想像がふくらんで感受性に影響する、
ということがある。
 
ファインマンさんシリーズとか、
寺田寅彦の随筆集とか、
ウォルター・ルーウィン「これが物理学だ」、
サン・テグジュペリ「人間の土地」、
ユクスキュル、クリサート「生物から見た世界」、
シュティフター「水晶」などの
科学系の読み物を読んでいると、
実際に五感では感じ取れないところの話を
していることがある。
 
空気圧の話、紫外線、赤外線の話、
分子の動き方、人間以外の生き物の感覚、
地図から読み取れること、
などなど、知識として把握しているから、
目には見えない仕組みについて
いろいろ想像ができる、ということがある。
 

 
ぼく(ら)は知っておいても良いことを、
知らずに過ごしているということの方が多い。
 
基本は、目に見えている情報だし、
寒い、暑い、きれい、台風で飛ばされたとか、
人の五感に感じられるようになってからしか
自然は存在しないような気がする。
 
人が感じている以外の、わからないところでも、
いつでも、じわじわと自然は生まれ変わったり、
動いたりしている。
 
ふつうに過ごしていると、それがわからない。
なんでいま雨が降っているのか、
風が吹いているのか、気温の変化があるのか、
郊外の金木犀は、都心の金木犀よりも香るのは
なぜか、とか、
たとえば、目に見えていないけど、
汚水をきれいにしているのは
ちいさなバクテリアなんだ、とか。
 
人は自然の仕組みを利用していても、
おいそれと人が操作できるものではないくらい
巨大な力でゆっくりと流れているものもある。
 
地球だって、ものすごい速さで回転しているし、
空気だって、ドラム缶をぺしゃんこにするくらいの
重さがある。
大気もまっすぐ進まないのは、地球の回転のせいだ
とか、大きな力と力の絶妙なバランスのとれた
ところで生きているので、普段は感じないけれど
実はそれらのさなかに自分がいる。
 
…と、想像すると、また見方も変わるだろうなと
本を読んで思う。
見方は変わった方が良いと思う。
 
自分自身もそういうことを知って、
見方を変えたいと思うが、でも難しい。
 
こういうテーマで穴あき絵本「補集合の本」の
新作を考えている。
目には見えない空気のようなものの中に、
この世の秘密をふと垣間見れるような…。
 
穴あき絵本にぴったりのコンテンツは、
これしかないなと思う。
完成するまでは、他の人には伝わらないだろうけど。

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