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ことばの実験室 更新2019/4/23

色がない世界

以前から思っていたことなんだけど、
込み合ったバスに乗っているとき
前に背負ったリュックから、
パスケースを探す感覚が、面白い。

リュックにはたくさんものを
入れるクセがあるのと、
バスが込んでいるのとで、
ファスナーを広げて中をのぞいて
探すことができない。

なので、チャックをわずかに開けて
手をつっこんで目的の物を探す。

目で見ないで、手の感触だけなので、
おや、これはなんだろう?
と思う。
いま触れているものが何か推測する、
これは、スケジュール帳か
パスケースか。
ひも状のものが手に触る。
これは、充電コードか、イヤホンか。

だんだん、目的が変わってきて
手が自分の体全体だというように
想像して、
バッグの中にロープを下して
密林の崖をするすると
クライミングしていく…みたいな。


その様子を妄想するのが面白いので、
気が付いたら、降りるバス停に到着。
パスケースは見つからず、お客さんを
待たせてしまう。

その時は、リュックの中がジャングルや
密林のように感じて、
カラー映像を頭の中で浮かべていたが、
だが、そうではなかった。

こないだ、ペンケースから、
黄色いボールペンをとろうと思って
あの辺りにあるなと目視してから
手だけで探って、これだこれだと。

キャップを外そうとすると、
あろうことか、黒のマッキーだった。

「ありや?」
キツネにつままれたような気分。

ああそうか。
つまり、手の感触には色がないんじゃん。

自分のペンケースは、
化粧ポーチのように大きめで
いろんなペンが入っている。
なので、最初に目でこのペンだ、と
狙いを付けても、
目を逸らしてそのペンを取ろうと
すると、むずかしい。

絶対に、間違いなく、そのペンをとった
と思った上で、
確認して、違ったペンだと、
逆に快感だったりする。

おためしあれ。

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