worksは8/24に更新しました.

脳内スーパーサイヤ人

さじ加減というのが、むずかしい。
高校の陸上部だった頃の記憶に、
「さじ加減」に関して思い当たることが
ある。あまりよくない思い出として。
 
種目は中長距離という
1500mとか800mを走るもので、
とりわけ800mというのが、
なかなか計算高い競技なのです。
 
といっても、ぼくは全然計算などできず
ただ走るだけで。そうなると、
とんちんかんなことになってしまう。
 
800mということは、400mのトラック
を2周するんだけど、ペース配分という
問題が大切になってくる。
初めての大会でまずぼくがやったのは、
1周目から全力疾走ということ。
 
なんかみんな遅いと思って、先頭を
切って走っていると、
2周目で立場が逆転した。
残り1周の鐘ががらがらなると、
突然皆がスパートをかけはじめる。
だましたな!と冷や汗をかくと同時に
どういうわけか体が動かず、
結局みんなに抜かれてしまう。
 
そこで「1周目は抑える」事を覚える。
 
次の試合で早速実践。
一番びりっけつにくっついて走って、
2周目で全員を抜こうという魂胆。
 
最後の200mにさしかかるとき、
なかなかの余裕があって
よしこのまま全員抜ける!!
と確信するのだけど頭で思った以上に
体が及ばない。
 
イメージでは、
完全に「行ける」とされているのに
現実的な問題と捉えると、
ここから全員を抜くにはオリンピック
選手並のエネルギーを要するのだが
ぼくはそれを無視していたのだ。
 
脳内でいくらスーパーサイヤ人に
なっても現実に再現できる能力がない。
 
結局、抜いたのは前の2人くらいで
先頭はほど遠かった。
 
こういう誤った感覚が今もなおある。
 
出かけるとき、かならず、
出先で読む本を選ぶ時間がある。
あれと、これと、それと…と、
イメージの中で幾つかの興味を
巡らせながら本を選ぶのは至上の時間。
それで四、五冊鞄にいれる。
 
多くの方にはお分かりだろうが、
旅行じゃあるまいし、出先で
四、五冊なんてまず読まない。
結局読むのは一冊なんです。
帰って鞄から本を取り出すときに
こんなに読めるわきゃないよ、
と思う。
 
あるいは1日のto doリストを
作るとき、あれとこれと、それと…
同じく膨大な要素を当てはめていく。
確かにこの通りにこなしていけば、
なににも追われることはなく、日々は
平和になるのだけど、
実際はそうはいかない。
 
「できるできる、てか
やらなきゃまずいだろう」
と思うのだけど、結局こなせるのは
半分くらい。
しかもぼくには意図に反した、
「寝落ち」という強制的定時があるから、
なおのことできない。
 
ぼくは800m走の時のように
イメージの中では全部こなせると思い
「できる、できない」の判断を
してしまう。
しかし、それは自分の肉体的能力を
無視していた脳内スーパーサイヤ人に
なっているのだ。
 

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