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ことばの実験室 更新2019/4/23

相手を読む方法

よく「自分のことばを大切にせよ」
と言われる。
それって「人に自分を伝えよう」
という文脈で言われたりする。

でもね、ぼくは
「自分のことば」=「腑に落ちる」
と思っている。

結果人に伝わったとしても、
人に伝えることを前提としていなくて、
自分自身に一番しっくりと伝わること
(「自分自身に伝わる」ってヘンだな)
なんじゃないかと思う。

発信者中心的な。言い換えると、
自己中によって生まれることば。
「おれがこう思うんだから、
こうなんだ。」と、その人が
本当にそう思っているなら、
誰にも否定はできないもん。

だから、自分のことばとは、
「自分のことを相手に
説明できることば」というと、
ちょっと的が違うんじゃないと思う。

「相手」を意識するなら、もっと
面白いコミュニケーション方法がある
「ことばにしなくても伝わる」
って事を積極的に受信すること。

たとえばさ、
占いしてもらいに来た人に、
「あら~」としみじみとした顔で、
「うんうん、わかるわ。
なにも言わなくていいの。
あなた大分悩んだのね。でも大丈夫よ。」

こう言えば大抵の人は、
つい「心を読まれた」
という気がしてしまう。

勘のいい人ならすぐに分かると思うけど、
占いに来る時点で悩みがあるのは
当然なんだし、
どう考えたって、励まして欲しいに
違いない。

占い師にしたら、それこそ
「なにも言われなくてもわかる」
なのですね。

もっと簡単なのでいうと、
これも、
「何も言わなくてもいいの、
私にはわかるわ、あなた…」という方式で
占い師のようにもったいぶって、
「髪切ったのね?」
どことなくそれっぽくなるでしょう。
冗談だけど、
これも「言われなくても伝わる」。

他にも整体の人に、
職業を当てられるということも
あったりするようだ。

以下、
Twitterからの引用。

きょう初めて行ったマッサージ屋の
お姉さんに
「ひょっとして翻訳の仕事とかしてます?」
と言われ、
「なぜわかったの?」と訊いたら、
「背骨と腰骨がこういう歪み方をしてるのは、
パソコンの左側に本か何か置いて
仕事してるんじゃないかと思ったんです」
だと。

人(人に限らないけど)は
ことばを発さずとも、
ことば的なコードを常にまとっている。

それは、発信者中心ではなく、
受信者による積極的な
コミュニケーションと言える。

「他人から見た自分のことば」
というか
「私からみたあなたのことば」
というか。

こういう話にもってこいなのが、
シャーロック・ホームズ。

ワトスンと初めて会った時、
彼はワトスンがアフガニスタン帰りの
軍医だということを、
一言もしゃべる前から言い当てた。

その詳細はこちらからどうぞ

一口にことばというけれど、
文字や、発声のことばだけが、
ことばとしての機能を持つのではない、
という気がしてくる。

受信者次第では、なんの変哲もない
ことが、記号的に、メッセージとして
受け取れる可能性を持っている。

こういうのって、
「自分のことば」と対照的なテーマ
(他人からみた私のことば)のように
思えてきて、面白いなと思うし、
読まれてみたい、と思うと同時に
読んでみたいとも思う。

こっそり実践してみよう。

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