ことばの実験室 更新2019/7/15

発掘する読書

専門書や研究書みたいな本は
読むのにむずかしい。
 
どうして、ああ難しい文章に
なってしまうのか。
昔からよく思う。
 
そもそも、なにが難しく
させるのか。
原因はなんだろう。。
 
まずは、
使われている単語に対して
ぼくの知識が
追いついていないこと。
 
それと、
どういう前提で
話をしているかの背景を
把握しきれていない。
 
難しい本って、
ある程度、知識レベルが
共有できないと、
なかなか読み進められない。
 
…とざっくり分析した
つもりになってみても、
だからといって
難解な本が読めるように
なるわけじゃないけど。
 

 
ものしらずなぼくとしては、
もっと簡易な例え話にしたり、
シンプルに変換して
分かりやすく展開してほしいと思う。
 
読めないストレスによって
「難しい言葉ばかりをつかって
かっこつけめ!」
など思ったりする。
 
親切な専門書も
序文に「体裁ばかりの…」みたいな
揶揄する内容がやんわりと
書かれていたりするモノもある。
 
その上で、
「この本ではそんなことは
決してしない」などと
書いてあったりする。
 
それに対して、ぼくは、
シンパシーを抱き、
頼もしさすら感じる。
 
追い打ちをかけるように
書き足すと、
かの井上ひさし氏もこんな格言を
のこしている。
 
「むずかしいことをやさしく、
やさしいことふかく、
ふかいことをゆかいに、
ゆかいなことをまじめに書くこと」
 

 
しかし、である。
 
興味深い研究に出会った。
「文章を理解するとは」
甲田直美著。
 
そこの第三章に、こんな見出しが
あった。
「少し読みにくい方が効果がある」。
 
この言い方だと、
にわかには信じがたい。
 
なので、こう言いなおす。
「能動的に読ませる文章の方が
より記憶に残る。」
これなら、まあそうか。
と納得がいく。
 
しかし、能動的に読ませる文章って
いったいなんだ、というと、
推測労力を消費させる文章のこと、
つまり、それが
「分かりにくい文章」であると。
 
たとえば、
どんな文章なのかというと
接続詞のない文や、
フレーズの羅列など…
 
1、「ここ最近休みがない。
今日も残業だ。
エナジードリンクは3本目。」
 
みたいなものと、
 
2、「ここ最近休みがないし
その上、今日も残業で
ものすごく疲れています。
だから
エナジードリンクを3本飲んで
もうひと頑張りしないと。」
 
2の方が分かりやすく
丁寧に書いてある。
1は読み手が意味を探らなければ
文章を書いた動機は見えない。
(この場合は分かりやすいけど)
 
つまり、1の方は、
「きっとこの人は
疲れているんだろう」
と推測させる余白がある。
 
こういう方がより印象に残るのだそうな。
 
難しい本とは、「能動的な読解」を
必要とする文章が書かれている。
とも言える。
 
だから、まあまあ
知識も背景も共有している人なら、
むしろちょっとくらい
推測を必要としている文章を
読む方が、理解が深まりやすい。
 
ただ、
多くの人に知ってもらいたい
という意図であるなら、
井上ひさし氏の格言通りに
文章は書きたいものだなと思う。

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