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椅子の権利

机に向かおう、と思う。
机に向かったからには、
ちゃんとしようと思って背を正す。
 
普段から姿勢が悪い(すぐ横になる)
ぼくが椅子に腰を据えるのは、
なかなかの決断が必要なのです。
 
腰かけると椅子をちょっとひいて、
凛とした気分になる。
 

 
すると、飼い猫が
ガッチャンガッチャンと
ドアのノブを回して
部屋のなかに入ってきた。
 
しかし、それには気を取られない。
なぜならもう集中モードに
入っているんだから。
 
作業を始めると、猫は足の周りを
くるくる回りながら、にゃあという。
 
お前の甘い声になんてまどわされんぞ、
と思ってイヤホンを当てることにした。
 
はいはいもしもし113
 
しばらくすると、
猫はぴたと動きを止める。
なぜだと思う?
飛ぶ準備段階に入ったのだ。
 
狙いをすませ、ちょうど一番ダメな
タイミングで机に飛び乗る。
作業は停止せざるを得ない。
狭い机の上をくるくる回転しながら
ごろごろごろ、と喉をならしている。
 
そしてイヤホンのコードと絶妙に
絡まり合い始める。
回るのを止せばいいのに、
ぼくの手元を中心にして、
くるくると回り続け、
やがて身動きできないくらい
絡まってしまう。
 

 
そのうち、目がとろーんとして、
へたんとすわり込む。
こともあろうか、そこは作業現場の
中心地であり、ぼくの両腕の上である。
 
水木しげるのマンガなら、
「フハッ」と言ってるところだと思う。
自由を失った両腕をそのまま猫の
思うようにさせているけれど、
このままでは埒があかないので、
ずりずりと腕を引き抜いて、
席を立ってトイレに行くことに。
 
帰ってくると、猫はぼくの座るべき
椅子の上にライオンみたいな高貴な
風格で寝そべっている。
 
ああ、そうか、そこは
お前の椅子だったね。と
ぼくは寝そべって作業を続ける。
 

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